慢性期統合失調症における抗精神病薬の減量・中止後の再発リスク因子~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2022/11/04

 

 精神疾患の再発予防に抗精神病薬による維持療法は有効だが、高用量での使用はリカバリーを妨げる可能性がある。そのため、慢性期統合失調症患者では、抗精神病薬の減量または中止が検討される。オランダ・Mental Health Services RivierduinenのJan P. A. M. Bogers氏らは、抗精神病薬の減量に伴う精神疾患再発のリスク因子を特定しようと試みた。その結果、慢性期統合失調症患者における抗精神病薬の減量では、精神疾患再発のリスク因子を考慮する必要があること、抗精神病薬の比較的急激な減量を行う場合でもハロペリドール換算3~5mgを最低用量とすることなどが報告された。また、著者らは、抗精神病薬の漸減は投与中止に伴う再発を回避し、必要最低用量を達成できる可能性があるとしている。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2022年10月6日号の報告。

 1950年1月~2021年1月に公表された研究をMEDLINE、EMBASE、PsycINFOよりシステマティックに検索し、慢性期統合失調症患者における抗精神病薬の減量または中止後の再発率を検討したランダム化比較試験(RCT)のレビューを行った。再発の潜在的なリスク因子を特定するため、人年当たりの相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・レビューには、47件のRCT(患者コホート54件、1,746人年)を含めた。
・維持療法と比較した場合、抗精神病薬の減量・中止の精神疾患再発RRは2.3人年(95%CI:1.9~2.8)であった。
・RRを上昇させる因子は以下のとおりであった。
 ●抗精神病薬の中止
 ●ハロペリドール換算量3~5mg未満への減量
 ●比較的急激な減量(10週未満)
・RRは、抗精神病薬の経口剤を減量した場合よりも長時間作用型注射剤のほうが低かった。
・精神疾患再発リスクの上昇に関連するその他の因子は、若年、フォローアップ期間の短さであった。

(鷹野 敦夫)