明治薬科大学のYusuke Okada氏らは、日本人統合失調症患者に対する各種長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬(アリピプラゾール、パリペリドン、リスペリドン、フルフェナジン/ハロペリドール)の有効性の比較を行った。その結果、アリピプラゾールとパリペリドンのLAIは、フルフェナジン/ハロペリドールと比較し、精神科入院およびLAI中止のリスクが低かった。また、アリピプラゾールLAIは、リスペリドンよりもLAI中止リスクが低いことも報告した。Schizophrenia Research誌2023年2月号の報告。
2つのレセプトデータベースを用い、レトロスペクティブコホート研究を実施した。対象は、2015年5月~2019年11月の間にLAI抗精神病薬による治療を開始した統合失調症外来患者。精神科入院リスクとLAI中止リスクをLAI間で比較するため、Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比(HR)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・薬剤ごとの適格基準を満たした使用開始患者数は、アリピプラゾール303例、パリペリドン124例、リスペリドン73例、フルフェナジン/ハロペリドール123例であった。
・精神科入院リスクについて、アリピプラゾール(HR:0.47、95%信頼区間[CI]:0.28~0.78)とパリペリドン(HR:0.50、95%CI:0.28~0.89)は、フルフェナジン/ハロペリドールと比較し、リスクが有意に低かった。また、リスペリドンは、アリピプラゾールおよびパリペリドンと同様の傾向が認められた。
・LAI中止リスクについて、アリピプラゾール(HR:0.53、95%CI:0.35~0.80)とパリペリドン(HR:0.57、95%CI:0.35~0.92)は、フルフェナジン/ハロペリドールと比較し、リスクが有意に低かった。
・アリピプラゾールは、リスペリドンと比較し、LAI中止リスクが有意に低かった(HR:0.56、95%CI:0.32~0.98)。
(鷹野 敦夫)