バイエル薬品は2023年2月24日、経口アンドロゲン受容体阻害薬(ARi)であるダロルタミド(商品名:ニュベクオ)について、遠隔転移を有する前立腺がんへの適応追加承認を取得した。
ダロルタミドを加えた併用療法が死亡リスクを有意に32.5%低減
今回のダロルタミドの承認は、遠隔転移を有する前立腺がん患者を対象とした第III相ARASENS試験の良好な結果に基づくもの。同試験では、アンドロゲン遮断療法(ADT)+ドセタキセルにダロルタミドを加えた併用療法が、ADT+ドセタキセルと比較して死亡リスクを有意に32.5%低減することが示された。これらの結果は、NEJM誌2022年3月24日号に掲載された。
ダロルタミドは転移のあるホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)の適応に対して複数の国や地域において申請中である(米国では承認済み)。同剤は、mHSPCを対象とした第III相試験(ARANOTE試験)や、再発リスクが非常に高い限局性前立腺がんの術後補助療法としてダロルタミドを評価するANZUP主導の第III相試験(DASL-HiCaP試験、ANZUP1801)など、さまざまな病期の前立腺がんを対象とした他の試験でも検討が進められている。
ダロルタミドは、遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん患者(nmCRPC)の治療薬として、米国、欧州連合(EU)、日本および中国を含めた世界の80以上の地域で承認されている。
(ケアネット 細田 雅之)