認知機能障害は、双極性障害患者の主要な症状の1つである。また、認知機能障害に対しプリン体関連の障害が重要な影響を及ぼしていることが示唆されている。しかし、双極性障害における認知機能障害とプリン体作動性代謝との関連を調査した研究は十分ではない。中国・The Second Xiangya Hospital of Central South UniversityのSujuan Li氏らは、これらの関連性とその潜在的な生死学的メカニズムについて調査を行った。その結果、尿酸値レベルの上昇は、双極性障害患者の認知機能に対する潜在的なメカニズムである可能性があり、尿酸値のコントロールが双極性障害の予防や治療においての新たな戦略となりうる可能性が示唆された。Journal of Affective Disorders誌2023年4月14日号の報告。
薬物治療未実施の新規双極性障害患者205例と健康対照者97例を対象に、横断的研究を実施した。尿酸値の測定は、生化学自動分析装置を用いた。認知機能の評価には、神経心理検査アーバンズ(RBANS)およびストループ色彩単語検査を用いた。また、一般的な情報および臨床症状を収集し、評価を行った。
主な結果は以下のとおり。
・双極性障害患者は、健康対照者と比較し、尿酸値レベルが有意に高かった(U=8,475.000、p=0.038)。
・双極性障害患者は、健康対照者と比較し、RBANSスコア(t=-11.302、p<0.001)およびストループ検査スコア(t=-6.962、p<0.001)が有意に低かった。
・性別サブグループ分析では、女性は、尿酸レベルが低く、RBANSスコアが高かった。
・相関分析では、双極性障害患者の認知機能において、注意(r=-0.23、p=0.001)および遅延記憶(r=-0.16、p=0.022)と尿酸値レベルとの有意な負の相関が認められた。
(鷹野 敦夫)