肺がん遺伝子パネル検査における、リアルタイムPCR(RT-PCR)Amoy 9 in 1の実用性を、大阪国際がんセンターの國政 啓氏が発表した。
次世代シークエンス(NGS)は多くの遺伝子を包括的に同定できる一方、コストが高く、解析結果の返却までの時間(TAT)が比較的長い。RT-PCRは低コストでTATが短い反面、同定できる遺伝子が限定される。第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で、國政氏が発表したリアルワールド研究では、LC-SCRUM-Asiaに登録した自施設の肺がん患者を対象に、Amoy 9 in 1とNGSの検査成績と実用性を、2019年6月~2021年12月に比較解析している。
主な結果は以下のとおり。
・対象は大阪国際がんセンターからLC-SCRUM-Asia登録した肺がん患者406例であった。
・Amoy 9 in 1は406例全例に、NGSは395例に使用された。
・406例中Druggableな遺伝子異常は54.9%であった。
・Amoy 9 in 1の成功率は98.5%(400/406例)、NGSの成功率は87.8%(347/395例)であった。
・Amoy 9 in 1のTATは5(3~22)日、NGSでは22(11~47)日であった。
・Amoy 9 in 1で成功しNGSで失敗した例(42例)の内訳をみると、DNA成功・RNA失敗が25例、DNA失敗・RNA成功が11例、DNA・RNAともに失敗が6例であった。
遺伝子パネル検査の状況は変化しているため、同試験の解析時期と現在では状況が異なっている可能性もある。RT-PCR、NGSどちらの長所も生かしながら、今後も拡大していく肺がんの遺伝子の解明に対応していくことが望まれる。
(ケアネット 細田 雅之)