重度の円形脱毛症、MTX+低用量ステロイドで毛髪再生

提供元:ケアネット

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公開日:2023/04/12

 

 フランス・ルーアン大学病院およびフランス国立衛生医学研究所(INSERM)U1234のPascal Joly氏らは、円形脱毛症(AA)のうち重度とされる全頭型AAまたは汎発型AA患者を対象に、メトトレキサート(MTX)単剤とプラセボの比較、MTX単剤とMTX+低用量prednisoneの併用療法を比較する2段階の二重盲検無作為化比較試験を実施した。その結果、MTX単剤では主に部分的発毛が可能であったが、MTX+低用量prednisone併用療法は患者の最大31%で完全発毛が可能であった。著者らは、「これらの結果は、JAK阻害薬で最近報告された結果と同程度であるが、コストははるかに安価と考えられる」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年3月8日号掲載の報告。

 研究グループは、治療効果が低いと報告されているAAの中でも最も重度とされる全頭型AAと汎発型AAについて、安価な治療法であるMTX単剤とMTX+低用量prednisoneの併用療法の有効性と忍容性を検討した。

 試験は、8つの大学病院の皮膚科部門で2014年3月~2016年12月の期間に行われた。対象は、6ヵ月超の局所および全身性の治療にもかかわらず症状進行が認められる全頭型AAまたは汎発型AA成人患者。

 対象患者は第1段階として、MTX(25g/週)単剤群またはプラセボ群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。6ヵ月時点の評価で25%以上の発毛が認められた患者は、12ヵ月間後まで1段階目で割り付けられた治療を継続した。発毛が25%未満であった患者は、第2段階としてMTX+prednisone(20mg/日を3ヵ月と15mg/日を3ヵ月)併用群またはMTX単剤群(MTX+プラセボ)に無作為に割り付けられた。

 主要エンドポイントは、MTX単剤の開始から12ヵ月後の完全発毛またはほぼ完全発毛(Severity of Alopecia Tool[SALT]スコア10未満)であった。なお、主要エンドポイントの評価は、試験開始時からMTXが投与された患者に限定され、4人の国際的な専門家が写真を基に評価した。副次エンドポイントは、頭皮の50%を超える発毛、QOL、忍容性などであった。データ解析は、2018年10月~2019年6月に行われた。

 主な結果は以下のとおり。

・合計89例(女性50例、男性39例、平均年齢±標準偏差:38.6±14.3歳、全頭型AA:1例、汎発型AA:88例)が、MTX単剤群(45例)またはプラセボ群(44例)に無作為に割り付けられた。
・12ヵ月時点で、完全またはほぼ完全発毛が観察されたのは、MTX単剤群1例、プラセボ群0例であった。MTX(6または12ヵ月)+prednisone併用群では35例中7例(20.0%、95%信頼区間[CI]:8.4~37.0)で観察され、このうちMTX(12ヵ月)+prednisone(6ヵ月)併用群では16例中5例(31.2%、95%CI:11.0~58.7)で観察された。
・完全またはほぼ完全発毛が観察された患者は非反応患者と比べて、QOLの改善が認められた。
・MTX投与を受けた患者において、疲労が7例(6.9%)、悪心が14例(13.7%)に認められ、2例が疲労と悪心で試験を中断した。重度の治療関連有害事象は観察されなかった。

(ケアネット)