うつ病患者の抑うつ症状、QOL、仕事や社会的機能に対する遠隔医療介入の治療効果を明らかにするため、台湾・亜洲大学のYin-Hwa Shih氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、遠隔医療介入はうつ病患者の抑うつ症状の軽減やQOL向上に効果的であることが報告された。Annals of Medicine誌2023年12月号の報告。
2021年3月までに公表された文献を、6つの電子データベース(MEDLINE、PubMed、PsycINFO、Scopus、Embase、CINAHL)でシステマティックに検索した。各文献のリファレンスリストは手動で検索した。対象は、うつ病と診断された患者の遠隔医療介入の治療効果を調査したランダム化比較試験。質的評価には、Joanna Briggs Instituteのチェックリストを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・適格基準を満たした17件の研究(2,394例)を分析に含めた。
・11件のランダム化比較試験において共通のアウトカム指標が用いられており、メタ解析が実行可能であった。
・遠隔医療介入は、うつ病患者の抑うつ症状(標準化平均差[SMD]:-0.44、95%信頼区間[CI]:-0.64~-0.25、p<0.001)およびQOL(SMD:0.25、95%CI:-0.01~0.49、p=0.04)に有益であることが示唆された。
・仕事および社会的機能の分析には、データが不十分であった。
・うつ病患者に対する遠隔医療介入は、抑うつ症状やQOLに良い影響をもたらすことが示され、より組織化された遠隔による精神医学システムを確立する臨床的意義が支持された。
(鷹野 敦夫)