デュルバルマブを用いた術前・後レジメンが早期非小細胞肺がん(NSCLC)の無イベント生存期間(EFS)を有意に延長した。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJohn V. Heymatch氏が、米国がん研究協会年次総会(AACR 2023)で発表した、術前化学療法とデュルバルマブの術前・後補助療法の組み合わせを評価する第III相AEGEAN試験の結果である。
・対象:手術予定のある未治療の切除可能なStage IIA〜IIIB(AJCC第8版)NSCLC
・試験群:デュルバルマブ+プラチナベース化学療法(3週ごと4サイクル)→手術→デュルバルマブ(4週ごと12サイクル)(Dur群)
・対照群:プラセボ+プラチナベース化学療法(3週ごと4サイクル)→手術→プラセボ(4週ごと12サイクル)(Chemo単独群)
・評価項目:
[主要評価項目]盲検化独立中央評価委員会(BICR)評価のEFS、病理学的完全奏効(pCR)
[副次評価項目]主要な病理学的奏効(mPR)、BICR評価の無病生存期間、全生存期間
主な結果は以下のとおり。
・EFS中央値(追跡期間中央値11.7ヵ月)はDur群未到達、Chemo単独群は25.9ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.68、95%信頼区間[CI]:0.53〜0.88、p=0.003902)。
・2年EFS率はDur群63.3%、Chemo単独群52.4%であった。
・pCRはDur群の17.2%、Chemo単独群の4.3%で達成した(群間差:13.0%、95%CI:8.7〜17.6、p=0.000036)。
・4サイクルの術前化学療法完遂率はDur群84.7%、Chemo単独群87.2%、手術完遂率はDur群77.6%、Chemo単独群76.7%、術後補助療法実施中はDur群23.2%、Chemo単独群23.5%で、いずれも両群で同等だった。
・全Gradeの有害事象はDur群96.5%、Chemo単独群94.7%で発現し、全Gradeの免疫関連有害事象(irAE)はDur群の23.5%、Chemo単独群の9.8%で発現した。
発表者であるHeymatch氏は、術前・後のデュルバルマブ+術前化学療法は、切除可能なNSCLCにとって、可能性を有する新たな治療選択肢であると結論を述べている。
(ケアネット 細田 雅之)