産後うつ病は、親に悪影響を及ぼすだけでなく、子供の認知機能、社会感情、行動発達などの障害につながる可能性がある。長崎大学の山川 裕子氏らは、出産後1年間の母親および父親の産後うつ病に関連する因子を調査した。その結果、父親と母親の双方にとって、ストレス対処スキルが産後1年間の産後うつ病に影響を及ぼす重要な因子であることが確認された。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年3月13日号の報告。
自己記入式アンケートを用いて調査を行った。産後5日、3ヵ月、6ヵ月、1年後にアンケートを郵送した。参加者は、父親および母親107組。産後うつ病の評価には、エジンバラ産後うつ病評価尺度(EPDS)を用いた。首尾一貫感覚(ストレス対処力、SOC)、夫婦関係の満足度(QMI)、ソーシャル・サポート尺度、赤ちゃんへの気持ち質問票(MIBS)、社会人口学的変数に関するデータを収集した。父親と母親それぞれの調査期間ごとに、各変数とEPDSとの関連性の強さを重回帰分析で調査した。
主な結果は以下のとおり。
・産後1年目の産後うつ病の有病率は、父親で12.1~23.4%、母親で7.5~8.4%の範囲であった。
・SOCは、4つの調査期間すべてにおいて、父親と母親の双方のEPDSスコアに最も強い影響を及ぼす因子であった。
・産後1年間の産後うつ病には、父親母親共に、ストレス対処スキルが重要な影響を及ぼすことが示唆された。
(鷹野 敦夫)