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日本における双極性障害外来患者の入院の予測因子~MUSUBI研究

提供元:ケアネット

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公開日:2023/05/15

 

 双極性障害は、躁症状とうつ症状が繰り返し発現し、社会的機能低下や自殺リスクにつながる可能性のある疾患である。症状の増悪により入院せざるを得なかった双極性障害患者では、その後の心理社会的機能の低下が報告されていることから、できる限り入院リスクを減らす治療が求められる。しかし、双極性障害患者の実臨床における入院の予測因子に関するエビデンスは、これまで十分ではなかった。獨協医科大学の徳満 敬大氏らは、日本における双極性障害外来患者の入院の予測因子を明らかにするため、観察研究を実施した。その結果、対象となった双極性障害外来患者の3.06%が、ベースラインから1年間に精神科への入院を経験していることが明らかとなった。また、双極I型障害、ベースライン時の機能の全体的評定尺度(GAF)スコアの低さ、失業状態、薬物乱用、躁状態が入院の予測因子である可能性が示唆された。Frontiers in Psychiatry誌2023年3月16日号の報告。

 日本の精神科クリニックにおける双極性障害の多施設治療調査「MUSUBI研究」にて、実臨床における観察研究を実施。レトロスペクティブな医療記録調査の一環として、日本精神神経科診療所協会に加盟しているクリニック176施設を受診した双極性障害患者について、臨床医へのアンケート調査を行った。2016年9月~10月に収集したデータより、ベースライン時の患者の特徴(併存疾患、精神状態、治療期間、GAFスコア、薬理学的治療の詳細情報など)を抽出した。ベースラインから2017年9・10月までの期間(1年間)、双極性障害患者の入院発生率および予測因子を調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者数は2,389例。
・ベースラインから1年間での精神科入院発生率は3.06%であった。
・二項ロジスティック回帰分析では、精神科入院と関連が認められた因子は、双極I型障害、ベースライン時のGAFスコアの低さ、失業状態、薬物乱用、躁状態であった。
・本結果は、臨床医が双極性障害患者の精神科への入院を予防するうえで、役立つ可能性がある。

(鷹野 敦夫)