脂漏性皮膚炎に1日1回のroflumilast外用薬が有望

提供元:ケアネット

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公開日:2023/05/25

 

 脂漏性皮膚炎による紅斑、鱗屑、そう痒の治療において、1日1回塗布のroflumilastフォーム0.3%(泡[フォーム]を形成する製剤)は、良好な有効性、安全性、および局所忍容性を示した。米国・オハイオ大学のMatthew J. Zirwas氏らが第IIa相二重盲検溶媒対照並行群無作為化試験の結果を報告した。脂漏性皮膚炎に対する局所治療の選択肢は、有効性や安全性の観点から限られている。脂漏性皮膚炎はあらゆる年代にみられ、全世界の有病率は5%以上とされる。roflumilastは選択的ホスホジエステラーゼ(PDE)4阻害薬であり、抗炎症作用を有する。経口薬は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬として承認されており(本邦未承認)、外用薬は2022年7月に慢性尋常性乾癬への適応で米国食品医薬品局(FDA)により承認されている。著者は、「今回の結果は、本剤の非ステロイド系外用薬としてのさらなる研究を支持するものである」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年5月3日号掲載の報告。

 研究グループは、頭皮や顔、体幹に脂漏性皮膚炎症状を有する成人患者において、roflumilastフォーム0.3%の安全性と有効性の評価を目的として本試験を実施した。

 本試験は、2019年11月12日~2020年8月21日に、米国とカナダの24施設にて行われた。対象は、脂漏性皮膚炎と診断されて3ヵ月以上、Investigator Global Assessment(IGA)スコア3以上(中等度以上)、症状が頭皮や顔、体幹、間擦部を含む体表面積の20%以下である18歳以上の患者であった。対象患者をroflumilast群(roflumilastフォーム0.3%)または溶媒群(vehicleフォーム)に無作為に割り付け、1日1回8週間塗布した。

 主要アウトカムは、8週時のIGAに基づく奏効(IGAスコアが0[消失]または1[ほとんど消失]+ベースラインから2点以上減少で定義)とした。副次アウトカムは、2週・4週時のIGAに基づく奏効、Worst Itch Numeric Rating Scale(WI-NRS)のベースラインからの変化量などであった。安全性と忍容性も評価した。データ解析は、2020年9月~10月に行われた。

 主な結果は以下のとおり。

・合計226例(平均年齢±標準偏差[SD]:44.9±16.8歳、男性116例、女性110例)が、roflumilast群(154例)、溶媒群(72例)へ無作為に割り付けられた。
・8週時において、roflumilast群は104例(73.8%)がIGAに基づく奏効を達成したが、溶媒群は27例(40.9%)であった(p<0.001)。
・初回評価の2週時におけるIGAに基づく奏効率は、roflumilast群(33.8%)が溶媒群(14.7%)と比べて統計学的有意に高率であった(p=0.003)。
・8週時において、WI-NRSのベースラインからの平均減少率(SD)は、roflumilast群59.3%(52.5%)、溶媒群36.6%(42.2%)であった(p<0.001)。
・roflumilastの忍容性は良好で、有害事象の発現頻度は両群で同程度であった。

(ケアネット)