うつ病患者から報告されたアウトカムは、患者の人生の充足、ウェルビーイング、価値ある活動などを反映している。カナダ・トロント大学のRoger S. McIntyre氏らは、うつ病患者に対するブレクスピプラゾール補助療法による治療がライフ・エンゲージメントに及ぼす短期的および長期的な影響を検討するため、10項目の自己記入式うつ症状尺度(IDS-SR10)を用いて本研究を実施した。その結果、ブレクスピプラゾール補助療法は、抑うつ症状に対する効果だけでなく、患者のライフ・エンゲージメントの改善が期待でき、うつ病患者自身にとって意味のある機能的アウトカムを改善する可能性が示唆された。Journal of Psychiatric Research誌2023年6月号の報告。
抗うつ薬治療で効果不十分な成人うつ病外来患者(DSM-IV-TR 基準)を対象に、抗うつ薬+ブレクスピプラゾール(2~3mg/日)補助療法(579例)と抗うつ薬+プラセボ(583例)を比較した3つの6週間ランダム化二重盲検試験より短期データをプールした。長期データは、抗うつ薬+ブレクスピプラゾール(0.5~3mg/日)補助療法の26(2,047例)~52(768例)週間非盲検延長試験よりプールした。
主な結果は以下のとおり。
・短期治療では、ブレクスピプラゾール補助療法群は、プラセボ群と比較し、IDS-SR10ライフ・エンゲージメントサブスケールスコアの大幅な改善を示した(最小二乗平均差:-1.19、95%信頼区間:-1.78~-0.59、p=0.0001、エフェクトサイズCohen's d:0.23)。
・8つのライフ・エンゲージメント項目においても、プラセボ群と比較し、ブレクスピプラゾール補助療法群で大幅な改善が認められた(p<0.05、エフェクトサイズの範囲:0.12~0.24)。
・長期治療では、IDS-SR10ライフ・エンゲージメントサブスケールスコアの変化の平均(標準偏差)は、26週目(2,047例)で-2.4(4.9)、52週目(768例)で-3.7(5.3)であり、10項目すべてにおいて平均スコアの改善が認められた。
(鷹野 敦夫)