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向精神薬の頓服使用が統合失調症入院患者の転帰に及ぼす影響

統合失調症治療では、興奮、急性精神症状、不眠、不安などの症状に対し、一般的に頓服薬が用いられる。しかし、頓服薬使用を裏付ける質の高いエビデンスは不足しており、これら薬剤の使用は、臨床経験や習慣に基づいて行われている。北里大学の姜 善貴氏らは、向精神薬の頓服使用の実態および患者の転帰に対する影響を評価するため、本研究を行った。その結果、向精神薬の頓服使用は、統合失調症入院患者の入院期間の延長、抗精神病薬の多剤併用、再入院率の増加と関連しており、精神症状のコントロールには、大量の向精神薬の頓服使用を避け、ルーチン処方で安定を目指す必要があることを報告した。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2023年5月30日号の報告。
入院での治療を受けた統合失調症患者205例を対象に、入院前および退院時の向精神薬使用状況、入院中の頓服薬の使用頻度を調査した。また、向精神薬の頓服使用が入院日数、抗精神病薬の多剤併用、再入院率に及ぼす影響も検討した。
主な結果は以下のとおり。
・入院中に向精神薬の頓服使用を行った患者は、使用しなかった患者と比較し、入院日数が有意に長く(p=0.00075)、退院時の抗精神病薬の多剤併用率が有意に高かった(p=0.00024)。
・1日当たりの向精神薬の頓服使用数が多いほど、退院3ヵ月以内の再入院率の増加が認められた(p=0.0044)。
・頓服薬の使用をモニタリングし、再検討を促すシステムを構築する必要性が示唆された。
(鷹野 敦夫)
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