局所進行直腸がん、術前FOLFOX単独は術前化学放射線療法に非劣性(PROSPECT)/ASCO2023

提供元:ケアネット

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公開日:2023/06/08

 

 局所進行直腸がんの標準治療は、術前の骨盤放射線照射とフッ化ピリミジン系抗がん剤による化学療法(化学放射線療法)である。PROSPECT(Alliance N1048)試験は、フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチンを用いた術前化学療法(FOLFOX)が術前化学放射線療法の代わりに使用できるかを検討した第III相試験。PROSPECT試験の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)のプレナリーセッションとして米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのDeborah Schrag氏が発表し、同日にNEJM誌に掲載された。

PROSPECT試験で術前化学療法の術前化学放射線療法への非劣性を証明

・対象:T2リンパ節陽性、T3リンパ節陰性または陽性の直腸間膜全切除術(TME)適応直腸がんの成人患者
・試験群(FOLFOX群):術前にFOLFOX6サイクル。抗腫瘍効果を評価し、20%以上の腫瘍縮小があればそのままTME。20%未満であれば化学放射線療法を追加してTME。術後R0であればFOLFOXを6サイクル追加、R1、R2であれば化学放射線療法とFOLFOXを4サイクル追加
・対照群(化学放射線療法群):標準的な術前化学放射線療法→TME→術後FOLFOXを8サイクル追加
・評価項目:
[主要評価項目]無病生存期間(DFS)。再発または死亡に関するハザード比の両側90.2%信頼区間(CI)上限が1.29を超えない場合に非劣性とする
[副次評価項目]全生存期間(OS)、無局所再発生存期間、病理学的完全奏効、有害事象プロファイルなど

 PROSPECT(Alliance N1048)試験の主な結果は以下のとおり。

・2012年6月~2018年12月に、合計1,194例がランダム化を受け、1,128例が治療を開始した。うち585例がFOLFOX群、543例が化学放射線療法群に組み入れられた。
・追跡期間中央値58ヵ月時点で、FOLFOX群のDFSは化学放射線療法群に対して非劣性であった(再発または死亡のハザード比:0.92、90.2%CI:0.74~1.14、非劣性のp=0.005)。
・5年DFS率はFOLFOX群で80.8%(95%CI:77.9~83.7)、化学放射線療法群で78.6%(95%CI:75.4~81.8)だった。OS率(死亡のハザード比:1.04、95%CI:0.74~1.44)および局所再発(ハザード比:1.18、95%CI:0.44~3.16)に関して、両群は同等だった。

 術前化学療法の術前化学放射線療法への非劣性が証明されたことで、今後の実臨床では患者を選択したうえで放射線療法を省略することが治療選択肢となりそうだ。

(ケアネット 杉崎 真名)