HR+/HER2-進行乳がん、CDK4/6阻害薬は1次治療か2次治療か(SONIA)/ASCO2023

提供元:ケアネット

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公開日:2023/06/12

 

 HR+/HER2-進行乳がんに対する1次治療でのCDK4/6阻害薬使用は、2次治療での使用と比較して、無増悪生存期間(PFS)の有意な減少や臨床的に意味のある有用性が認められなかったことが、オランダで全国的に実施された医師主導の第III相SONIA試験で示された。また、CDK4/6阻害薬を1次治療で使用すると使用期間が16.5ヵ月長くなり、毒性および治療費用が増加したという。オランダ・The Netherlands Cancer InstituteのGabe S. Sonke氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。

 CDK4/6阻害薬の1次治療での使用は2次治療での使用より毒性が長期にわたり、治療費用も増加しているが、現在、ほとんどの世界的なガイドラインでは1次治療での使用を推奨している。しかし、1次治療での使用の2次治療での使用に対する優越性は、head-to-headの比較試験から得られているわけではない。本試験では、オランダの74病院におけるHR+/HER2-進行乳がんを対象に進行がんに未治療の患者において、1次治療もしくは2次治療の内分泌療法へのCDK4/6阻害薬追加の有効性、安全性、費用対効果を評価した。

・対象:測定可能または評価可能な病変を有し、進行がんに未治療の閉経前・後のHR+/HER2-進行乳がん(WHO PS 0~2) 1,050例
・A群:1次治療で非ステロイド性アロマターゼ阻害薬(AI)+CDK4/6阻害薬(アベマシクリブ、パルボシクリブ、リボシクリブから治験担当医師が選択)、進行後フルベストラント 524例
・B群:1次治療で非ステロイド性AI単独、進行後フルベストラント+CDK4/6阻害薬 526例
・評価項目:
[主要評価項目]PFS2(2次治療でのPFS:無作為化から増悪/死亡まで)
[副次評価項目]QOL、全生存期間(OS)、費用対効果

 主な結果は以下のとおり。

・データカットオフ(2022年12月1日)時点の追跡期間中央値は37.3ヵ月だった。
・CDK4/6阻害薬の投与期間中央値は、A群24.6ヵ月、B群8.1ヵ月で、A群が16.5ヵ月長かった。
・1次治療におけるPFS(PFS1)中央値は、A群24.7ヵ月、B群(AI単独)16.1ヵ月だった(ハザード比[HR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.51~0.69、p<0.0001)。PFS2中央値はA群31.0ヵ月、B群26.8ヵ月で有意差は認められなかった(HR:0.87、95%CI:0.75~1.03、p=0.10)。これは、どのサブグループ解析でも同様だった。
・OS中央値はA群45.9ヵ月、B群53.7ヵ月で、有意差は認められなかった(HR:0.98、95%CI:0.80~1.20、p=0.83)。
・QOL(FACT-B合計スコア)に差はなかった。
・安全性については、CDK4/6阻害薬の特徴的な有害事象が認められ、Grade3以上の有害事象はA群が42%多かった。
・患者当たりの薬剤費用はA群のほうが20万ドル高かった。

 本試験の結果から、Sonke氏は「1次治療において内分泌療法単独は優れた選択肢」と述べ、「SONIA試験のような試験は、効果的な薬剤の毒性を大きく減少でき、また、高価なために手の届かない患者が利用しやすくなる」と考察している。

(ケアネット 金沢 浩子)

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