ヒト化抗CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)モノクローナル抗体であるフレマネズマブは、片頭痛発作の発症抑制を適応とする皮下注射製剤である。2022年、フレマネズマブに、自宅での自己注射が可能となるオートインジェクター(AI)製剤が新たな選択肢として加わった。獨協医科大学の平田 幸一氏らは、フレマネズマブのAI製剤の安全性を調査するために実施された第III相臨床試験の結果を報告した。その結果、自宅でのフレマネズマブのAI製剤自己注射は、一般的な安全性および良好な忍容性が認められた。著者らは、有用性およびアドヒアランス改善の観点から、フレマネズマブのAI製剤による投与戦略は臨床的に意義があると考えられると報告している。Expert Opinion on Drug Safety誌オンライン版2022年12月28日号の報告。
2020年6~11月に日本国内10施設で、片頭痛患者71例を対象とした多施設共同非盲検試験を実施した。本試験では、4週間(28日)のスクリーニング期間と8週間(57日)の治療期間を設けた。治験実施責任者の指示に従い、すべての患者は施設内と自宅で4週間の自己注射による治療および、頭痛の電子日誌による記録を行った。主要評価項目は、治療中に発現した有害事象(TEAE)に基づく試験薬剤の安全性とした。
主な結果は以下のとおり。
・TEAEは施設内での自己注射後に比べ、自宅での自己注射後においてより頻繁に認められたが、主に注射部位反応であり、ほとんどが軽度であった。
・安全性プロファイルは同等であり、これまでの研究報告と比較し新たな懸念は認められなかった。
・片頭痛の日数および頭痛の日数いずれにおいても、大幅な減少が観察された。
(鷹野 敦夫)