アルツハイマー病に対するlecanemabの有効性および安全性を評価するため、中国・Shengjing Hospital of China Medical UniversityのYue Qiao氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。その結果、実臨床における意義は確立していないものの、lecanemabは、早期アルツハイマー病患者の認知機能、行動に対し有効性を示すことが報告された。Frontiers in Aging Neuroscience誌2023年5月5日号の報告。
2023年2月までに公表された軽度認知障害またはアルツハイマー病患者における認知機能低下に対するlecanemab治療を評価したランダム化対照比較試験を、PubMed、Embase、Web of Science、Cochraneより検索した。臨床的認知症重症度判定尺度(CDR-SB)、Alzheimer's Disease Composite Score(ADCOMS)、AD Assessment Scale-Cognitive Subscale(ADAS-Cog)、臨床的認知症尺度(CDR)、アミロイドPET SUVr、PETにおけるアミロイド負荷、有害事象リスクに関するアウトカムを収集した。
主な結果は以下のとおり。
・アルツハイマー病患者3,108例(lecanemab群:1,695例、プラセボ群:1,413例)を含む4件のランダム化比較試験のデータを用いて、メタ解析を実施した。
・ベースライン特性は、lecanemab群においてApoE 4ステータスおよびMMSEスコアの高さが認められた。その他の項目は、両群間で類似していた。
・早期アルツハイマー病患者に対するlecanemab群の各アウトカムは、プラセボ群と比較し、以下のとおりであった。
●CDR-SB(加重平均差[WMD]:-0.45、95%信頼区間[CI]:-0.64~-0.25、p<0.00001)
●ADCOMS(WMD:-0.05、95%CI:-0.07~-0.03、p<0.00001)
●ADAS-Cog(WMD:-1.11、95%CI:-1.64~-0.57、p<0.0001)
●アミロイドPET SUVr(WMD:-0.15、95%CI:-0.48~0.19、p=0.38)
●PETにおけるアミロイド負荷(WMD:-35.44、95%CI:-65.22~-5.67、p=0.02)
●有害事象(1つ以上のTEAEが認められた患者)(オッズ比[OR]:0.73、95%CI:0.25~2.15、p=0.57)
●ARIA-E(アミロイド関連画像異常-浮腫/浸出)(OR:8.95、95%CI:5.36~14.95、p<0.00001)
●ARIA-H(アミロイド関連画像異常-脳微小出血、脳出血、脳表ヘモジデリン沈着)(OR:2.00、95%CI:1.53~2.62、p<0.00001)
(鷹野 敦夫)