辛い食物摂取とアルツハイマー病関連の認知機能低下との関係

提供元:ケアネット

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公開日:2023/06/21

 

 アルツハイマー病または認知機能低下と辛い食物摂取や身体活動とは、関連があるといわれているが、その調査は十分に行われていない。韓国・順天郷大学校のJaeuk Hwang氏らは、身体活動の緩和効果の条件下における辛い食物とアルツハイマー病関連の記憶力低下または全体的な認知機能低下との関連を調査した。その結果、辛い食物摂取は、アルツハイマー病関連の認知機能低下(エピソード記憶)の予測因子であり、とくに身体活動量の低い高齢者では悪化する可能性があることを報告した。Scientific Reports誌2023年5月16日号の報告。

 対象は、認知症でない高齢者196人。対象者の辛い食物摂取、アルツハイマー病関連の記憶および全体的な認知機能、身体活動などを含む包括的な食事と臨床評価に関するデータを収集した。辛さは、「辛くない(対照)」「少し辛い」「非常に辛い」の3段階に層別化し、独立変数として分析に用いた。辛さのレベルと認知機能との関連を評価するため、重回帰分析を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・辛さレベル別の割合は、「辛くない」93人、「少し辛い」58人、「非常に辛い」45人であった。
・高レベルの辛さは、対照群と比較し、記憶力低下(β=-0.167、p<0.001)または全体的な認知機能低下(β=-0.122、p=0.027)と有意な関連が認められたが、記憶力以外では認められなかった。
・6つの変数(年齢、性別、アポリポ蛋白Eε4対立遺伝子陽性率、血管リスクスコア、BMI、身体活動)を追加し、辛さレベルと記憶または全体的な認知機能との関連を緩和する効果を調査するため、重回帰分析を繰り返した。
・身体活動には、高レベルの辛さと記憶(β=0.209、p=0.029)または全体的な認知機能(β=0.336、p=0.001)の影響に対する緩和効果が検出された。
・サブグループ解析では、高レベルの辛さと記憶(β=-0.254、p<0.001)および全体的な認知機能(β=-0.222、p=0.002)の低下との関連は、身体活動量の低い高齢者でみられるものの、身体活動量の多い高齢者では認められなかった。

(鷹野 敦夫)