暑くても脳卒中が増加?~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2023/07/06

 

 暑さと寒さの両方が脳卒中の罹患率および死亡率を増大させ、発展途上国よりも先進国のほうが暑さによるリスクが高いことが、中国・Tongji Medical CollegeのJing Wen氏らによって明らかになった。Brain and Behavior誌オンライン版2023年6月2日号掲載の報告。

 これまでの研究で、気温は脳卒中の罹患率および死亡率と関連することが示唆されているが、そのエビデンスは十分ではない。そこで研究グループは、気温と脳卒中の罹患率および死亡率との関連を評価するためにメタ解析を行った。

 研究グループは、PubMed、Embase、Web of Scienceを用いて、データベース開設から2022年4月13日までに発表された研究を検索した。高温環境と低温環境のプール推定値は、ランダム効果モデルを用いて算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・20件の研究が解析に含まれた。12件はアジアで実施され、6件はヨーロッパと北米、南米とオーストラリアは1件ずつであった。すべての研究における気温は-33.1℃(カナダ)~40.9℃(中国)で、高温環境は90パーセンタイル以上、低温環境は10パーセンタイル以下とされた。ほとんどの研究で気温のラグ効果は0~28日であると考えられていた。
・高温環境では、脳卒中罹患率の相対リスク(RR)は1.10(95%信頼区間[CI]:1.02~1.18、I2=74.2%)、脳卒中死亡率のRRは1.09(1.02~1.17、85.6%)で有意な関連を示した。
・低温環境では、脳卒中罹患率のRRは1.33(95%CI:1.17~1.51、I2=72.4%)、脳卒中死亡率のRRは1.18(1.06~1.31、85.5%)で有意な関連を示した。
・サブグループ解析では、社会経済的地位で層別化すると、高温環境における脳卒中の罹患率および死亡率は、発展途上国よりも先進国で高かった。しかし、低温環境では、先進国よりも発展途上国のほうが罹患率および死亡率が高かった。

 これらの結果より、研究グループは「本研究は、暑さと寒さの両方が脳卒中の罹患率および死亡率と正の相関があるという仮説を支持している。脳卒中リスクを低減するために、公衆衛生において的を絞った対策を推進すべきである」とまとめた。

(ケアネット 森 幸子)