既治療の転移のあるKRAS G12C変異陽性の大腸がん(mCRC)に、ソトラシブとパニツムマブ、FOLFIRIレジメンの併用が有効である可能性が明らかとなった。CodeBreaK 101サブプロトコールHの結果として、米国・MDアンダーソンがんセンターのDavid S. Hong氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。
CodeBreaK 101サブプロトコールHは、多施設共同のオープンラベル第Ib相試験。今回は、用量探索コホート(6例)と拡大コホート(40例)を合わせた全体成績が解析された。
・対象:1ライン以上の治療歴があるKRAS G12C変異陽性のmCRC 46例
・介入:ソトラシブ960mg/日+パニツムマブ6mg/kg 2週ごと+FOLFIRI 2週ごと
・評価項目:
[主要評価項目]安全性および忍容性
[副次評価項目]奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DOR)、奏効までの期間(TTR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、薬物動態
主な結果は以下のとおり。
・用量探索コホートと拡大コホートを合わせた、ソトラシブ+パニツムマブ+FOLFIRIによる治療関連有害事象(TRAE)は全Gradeで96%、重篤なものは4%に発現し、死亡例はなかった。これらの有害事象は既知のものと一貫していた。
・ソトラシブとイリノテカンの薬物動態に関し、臨床的に意味のある相互作用は確認されなかった。
・用量探索コホートと拡大コホートを合わせた併用レジメンのORRは55%、DCRは93%であった。有効性は、前治療のライン数やイリノテカンベースの治療の有無に関係なく示された。
・ソトラシブ960mg/日、パニツムマブ6mg/kg 2週ごと、FOLFIRI 2週ごとは、第II相推奨用量であることが示された。
ソトラシブ、パニツムマブ、FOLFIRI療法の組み合わせは、5-FUやイリノテカンの前治療にかかわらず、既治療のKRAS G12C変異陽性mCRCに対する優れた有効性を示すことが示唆された。
(ケアネット)