既存の保険証の有効期限の延長も必要/日医

提供元:ケアネット

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公開日:2023/07/07

 

コロナ第9波に入ったと判断

 日本医師会常任理事の釜萢 敏氏が、7月5日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症の現在の感染状況について報告し、「現状は第9波に入ったと判断するのが妥当」との見解を示した。

 「4月上旬から、緩やかではあるけれども新規感染者が増えているという状況が今日までずっと続いていて、今後も夏に向けて引き続き感染者が増える恐れがある。幸いに全国的には医療の逼迫はまだそれほど多くはなく、救急搬送困難事例は少し増えてはいるがまだそれほどではない」と述べた一方で、感染者が増加している沖縄県の状況について危機感を示した。

 釜萢氏が個人的に沖縄の医師に聞いた話によると、医療の逼迫は明らかに強まっているという。「5類移行後は行政の関与が少なくなり、その結果として医療の逼迫状況が地域に十分周知されていないという現象がみられる。非常に逼迫している医療機関はとても大変な状況だが、その状況が地域で幅広く共有されておらず、協力が得られるという状況にはない」としたうえで、「今後の検討・改善の取り組みとして、5類移行後もなるべくその地域の感染状況を地域の関係者がしっかり共有し、適切に対応していく必要がある。医療の逼迫については、前兆を感じたところで情報共有し、どういう風に対応するかを考えていく。とくに入院の調整は行政の関わりが減ったので、速やかに入院の必要な方がきちんとベッドに割り振られるように、各地域において準備をしなければならない」とまとめた。

既存の保険証の有効期限の延長も必要

 常任理事の長島 公之氏は、現時点のマイナ保険証に関する日本医師会の見解を述べた。オンライン資格確認については、マイナ保険証のひも付けの誤りや資格確認ができない場合の対応方法が明確でなかったことにより、患者にも医療現場にも不安と混乱が生じている。

 「6月29日に開催された社会保障審議会医療保険部会において、保険者による迅速かつ正確なデータ登録の確保のための取り組みと、マイナカードでオンライン資格確認を行うことができない場合の対応が示された。とくに資格確認ができない場合にも自己負担分で必要な保険診療を受けられるようにする、また医療機関には未収金と経済的負担が発生しないようにするための対応を明確化することは大きな前進である」と評価した。

 さらに、「保険証が廃止された後も国民・患者や医療現場に混乱が生じないよう、資格確認書が必要な人全員に確実かつ迅速に、大きな負担なく交付される必要がある。そのための体制を保険証が廃止される2024年秋までに確実に整備するために、国として全力を尽くすことを要望した。万が一その整備が間に合わない場合には、国民・患者に不利益が生じないよう、また誰一人取り残されることのないよう、既存の保険証や資格確認書の有効期限の扱いについて、延長を含めて対応をお願いする必要がある」と見解を述べた。

(ケアネット 森 幸子)