リンパ節転移1~3個(N1)で再発スコアの低い乳がんでは、手術後に局所リンパ節照射(RNI)を受けなかった患者においても局所再発(LRR)の発生率が低かったことが、第III相SWOG S1007試験の2次解析で示された。米国・エモリー大学のReshma Jagsi氏らが、JAMA Oncology誌オンライン版2023年7月6日号に報告。
SWOG S1007試験は、1~3個のリンパ節転移を有するオンコタイプDX乳がん再発スコア25以下のホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんを対象に、内分泌療法単独群と化学療法後に内分泌療法を行う群に無作為に割り付けた第III相無作為化試験である。この2次解析として、4,871例の放射線治療情報を前向きに収集し、RNI実施割合、LRR発生率および予測因子、局所療法と無浸潤疾患生存(iDFS)との関連(閉経状態、治療、再発リスクスコア、腫瘍の大きさ、転移巣、腋窩手術で調整)を調査した。
主な結果は以下のとおり。
・放射線治療情報のある4,871例(年齢中央値:57歳、範囲:18~87歳)中、3,947例(81.0%)が放射線治療を受けていた。放射線治療を受け、標的の完全な情報が得られた3,852例中2,274例(59.0%)がRNIを受けた。
・追跡期間中央値6.1年で、LRRの5年累積発生率は、乳房温存手術とRNIを伴う放射線治療を受けた患者では0.85%、乳房温存手術とRNIを伴わない放射線治療を受けた患者では0.55%、乳房切除術後に放射線治療を受けた患者では0.11%、乳房切除術後に放射線治療を受けなかった患者では1.7%であった。化学療法なしの内分泌療法群でも同様にLRR率は低かった。
・RNIによるiDFS率の差はみられなかった(閉経前でのハザード比[HR]:1.03、95%信頼区間[CI]:0.74~1.43、p=0.87、閉経後でのHR:0.85、95%CI:0.68~1.07、p=0.16)。
(ケアネット 金沢 浩子)