HER2陽性胆道がんに対するzanidatamabの有用性(HERIZON-BTC-01)/ASCO2023

提供元:ケアネット

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公開日:2023/06/26

 

 HER2陽性胆道がんに対する抗HER2二重特異性抗体zanidatamabの有用性に関するデータが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)において、米国・MDアンダーソンがんセンターのShubham Pant氏から発表された。

 zanidatamabはHER2の細胞外部位のドメイン2とドメイン4に同時に結合する新規の二重特異性抗体であり、HER2の二量体形成の強力な抑制作用が示されている。今回の発表はアジアを中心に行われた国際共同の第IIb相試験HERIZON-BTC-01の結果である。

・対象:ゲムシタビン含有レジメンの治療歴を有する局所進行または転移のあるHER2陽性胆道がん
・介入:HER2のIHC 2+/3+症例(コホート1)
    HER2のIHC 0/1+症例(コホート2)
    zanidatamab(20mg/kg、day1および15)4週間ごと投与
・評価項目:
[主要評価項目]独立中央判定によるコホート1の奏効率
[副次評価項目]奏効期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性など

 主な結果は以下のとおり。

・2020年9月〜2022年3月に、コホート1に80例、コホート2に7例が登録された。コホート2では奏効例がなかったことから、今回はコホート1のみの集計解析。
・症例はアジア人が65%、胆のうがんが51%、肝内胆管がんが29%、肝外胆管がんが20%であった。
・前治療の中央値は1ラインで、ゲムシタビン+シスプラチンが76%、フッ化ピリミジンが34%、抗PD-1/L1抗体が26%に使用されていた。
・奏効率は41.3%(95%信頼区間[CI]:30.4〜52.8)で、DCRは68.8%であった。
・DOR中央値は12.9ヵ月、奏効発現までの期間中央値は1.8ヵ月であった。
・追跡期間中央値12.4ヵ月における、PFS中央値は5.5ヵ月であった。
・治療関連の有害事象は、全Gradeで76.3%、Grade3以上は18.8%に発現した。主な項目は下痢(40%)、インフュージョンリアクション(35%)、EF値低下(10%)、悪心(10%)などであった。
・有害事象による治療中止は2.5%、治療関連の死亡例はなかった。

 発表者であるPant氏は「本剤が将来のHER2陽性胆道がんの有望な治療オプションとなり得る可能性がある」と結んだ。

(ケアネット)