アルツハイマー病は、重度の神経変性疾患であり、直接的および間接的に大きな経済的負担をもたらす。しかし、効果的な薬物療法の選択肢はいまだ限られている。近年、認知症患者に対するゲーム療法が注目を集め、さまざまな研究が行われている。中国・北京大学のJiashuai Li氏らは、既存の研究データを統合し、認知症患者に対するゲーム療法の効果を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、ゲーム療法は、認知症患者の認知機能および抑うつ症状の改善が期待できる介入であることが示唆された。Worldviews on Evidence-Based Nursing誌オンライン版2023年6月12日号の報告。
認知機能、QOL、抑うつ症状をアウトカム指標とし、認知症患者に対するゲーム療法の影響を評価したランダム化臨床試験および準実験的研究を分析対象に含めた。トレーニングを受けた2人の独立した研究者により、研究のスクリーニング、品質評価、データ抽出を実施した。統計分析には、Review Manager(Revman)5.3およびSTATA16.0ソフトウエアを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・分析には、12研究(877例)を含めた。
・メタ解析では、ゲーム療法群は対照群と比較し、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアが有意に高く、Cornell Scale for Depression in Dementia(CSDD)スコアが有意に低くかったが、QOLに関しては統計学的に有意な差は認められなかった。
【MMSE】標準化平均差(SMD):2.69(95%信頼区間[CI]:1.88~3.51、p<0.01)
【CSDD】SMD:-4.28(95%CI:-6.96~-1.60、p<0.01)
【QOL】SMD:0.17(95%CI:-0.82~1.16、p=0.74)
・さまざまな種類のゲーム療法を組み合わせることで、認知症患者のさまざまな臨床症状を改善し、介入時間の違いが、アウトカムに影響を及ぼすことが示唆された。
(鷹野 敦夫)