太陽光には、皮膚でのビタミンD生成を促す紫外線B(UVB)が含まれている。ビタミンDは、発育中から成人の脳機能にさまざまな影響を及ぼしている。しかし、多くの人々は、冬期にビタミンD生成を行ううえで十分なUVBを受けられない地域(北緯または南緯約40度以上)で生活を行っている。ドイツ・ドレスデン工科大学のMichael Bauer氏らは、世界の大規模サンプルを用いて、双極性障害の発症年齢とビタミンD生成に十分なUVBの閾値との関連性を調査した。その結果、UVBおよびビタミンDは、双極性障害発症に重大な影響を及ぼす可能性が示唆された。International Journal of Bipolar Disorders誌2023年6月22日号の報告。
北半球または南半球の41ヵ国75の収集サイトより、双極I型障害患者6,972例のデータを収集した。ビタミンD生成に十分なUVBの閾値と発症年齢との関係を評価した(閾値を1ヵ月以上下回る場合、気分障害の家族歴、出生コホートを含む)。すべての係数は、p≦0.001で推定した。
主な結果は以下のとおり。
・対象患者は、70ヵ国582の地域で双極性障害を発症していた(平均発症年齢:25.6歳)。
・ビタミンD生成に十分なUVBの閾値を1ヵ月以上下回っていた患者の割合は、34.0%であった。
・UVBの閾値を1ヵ月以上下回っている地域の双極性障害患者は、発症年齢が1.66歳若かった。
・本研究の限界として、患者のビタミンDレベル 、ライフスタイル、サプリメント使用に関するデータが欠如していた点が挙げられる。
・双極性障害におけるUVBとビタミンDの影響については、さらなる研究が求められる。
(鷹野 敦夫)