アルツハイマー病、早発型と遅発型の臨床的特徴の違い~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2023/08/16

 

 認知症で最も一般的な病態であるアルツハイマー病は、発症年齢による比較検討が多くの研究で行われているが、その違いは明らかになっていない。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのPaige Seath氏らは、アルツハイマー病の早発型(65歳未満、early-onset:EO-AD)と遅発型(65歳以上、late-onset:LO-AD)の臨床的特徴を比較するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、EO-AD患者はベースライン時の認知機能、認知機能低下速度、生存期間においてLO-AD患者と異なる特徴を有しているが、それ以外の臨床的特徴は同様であることが示唆された。International Psychogeriatrics誌オンライン版2023年7月11日号の報告。

 Medline、Embase、PsycINFO、CINAHLのデータベースをシステマティックに検索し、EO-AD患者とLO-AD患者における診断までの時間、認知機能スコア、1年当たりの認知機能低下、ADL、神経精神症状、QOL、生存期間を比較した研究を抽出した。変量効果モデルを用いた逆分散法により、各アウトカムへの全体的な影響の推定値を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・メタ解析には42研究(EO-AD:5,544例、LO-AD:1万6,042例)を含めた。
・EO-AD患者は、LO-AD患者と比較し、ベースライン時の認知機能が著しく低く、認知機能低下の速度が速かったが、生存期間は長かった。
・EO-AD患者は、発症から診断までの期間、ADL、神経精神症状について、LO-AD患者との違いは認められなかった。
・EO-AD患者とLO-AD患者のQOLの違いへの全体的な影響の推定には、データが不十分であった。

 結果を踏まえて著者は、「アルツハイマー病における発症年齢の影響をより理解するため、臨床症状に焦点を当てた標準化された質問票を用いた大規模研究が必要である」としている。

(鷹野 敦夫)