抑うつ症状や不安症状を有する若者に対し、特別なメンタルヘルス介入を行わなかった場合の1年後の回復率は、どの程度か。英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のAnna Roach氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施し、これを明らかにしようと試みた。その結果、不安や抑うつ症状を有する若者の約54%は、特別なメンタルヘルス介入を行わなくても回復することが示唆された。BMJ Open誌2023年7月21日号の報告。
1980年~2022年8月に公表された論文をMEDLINE、Embase、PsycINFO、Web of Science、Global Healthよりシステマティックに検索した。特別な介入を行わなかった10~24歳の若者を対象に、ベースラインおよびフォローアップ1年後の抑うつ症状および不安症状を評価した査読済みの英語論文を対象とした。3人のレビュアーにより関連データを抽出した。メタ解析を実施し、1年後の回復率を算出した。エビデンスの質は、Newcastle-Ottawa Scaleを用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・スクリーニングされた参考論文1万7,250件のうち5件(1,011例)をメタ解析に含めた。
・1年間の回復率は、47~64%の範囲であった。
・メタ解析では、全体をプールした若者の回復率は0.54(0.45~0.63)であった。
・今後の研究において、回復の予測因子や回復に寄与するリソース、活動を調査する必要がある。
(鷹野 敦夫)