これまで、コーヒー摂取と身体状態や死亡リスクとの関連性に関するエビデンスは蓄積されているが、精神疾患との関連性を評価した報告は限られていた。中国・杭州師範大学のJiahao Min氏らは、コーヒー摂取とうつ病や不安症リスクとの関連を調査し、さらにコーヒーの種類や添加物による影響を検討した。その結果、コーヒーを1日当たり2~3杯摂取することは、メンタルヘルス改善のための健康的なライフスタイルの一環として、重要である可能性が示唆された。Psychiatry Research誌8月号の報告。
コーヒーとうつ病および不安症との間にはJ字型の関連性
英国バイオバンクのデータを用いて、2006~10年のベースラインタッチスクリーンアンケートに回答した参加者14万6,566人のデータを分析した。フォローアップ期間中、2016年にこころとからだの質問票(PHQ-9)、7項目一般化不安障害質問票(GAD-7)を用いて、うつ病および不安症の発症を確認した。コーヒーのサブタイプは、インスタントコーヒー、ひいたコーヒー、カフェインレスコーヒーとし、添加物にはミルク、砂糖、人工甘味料を含めた。関連性の評価には、多変数調整ロジスティック回帰モデルおよび制限付き3次スプラインを用いた。
コーヒー摂取とうつ病や不安症リスクとの関連を調査した主な結果は以下のとおり。
・コーヒーを摂取していた参加者は約80.7%、多くは1日当たり2~3杯(41.2%)摂取していた。
・コーヒー摂取とうつ病および不安症との間には、いずれもJ字型の関連性が認められた。
・精神疾患の発症リスクが最も低かったコーヒー摂取量は、1日当たり約2~3杯であった。
・ひいたコーヒー、ミルク入りコーヒー、無糖コーヒーを1日当たり2~3杯飲んでいた参加者も、同様の結果であった。
(鷹野 敦夫)