ER+/HER2-乳がん、Ki-67と21遺伝子再発スコアの関連

提供元:ケアネット

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公開日:2023/09/07

 

 エストロゲン受容体(ER)陽性HER2陰性(ER+/HER2-)乳がんにおいて、21遺伝子再発スコア(RS)高値とKi-67高値はどちらも予後不良因子であるが、これらのバイオマーカーによる違いが指摘されている。今回、韓国・Hallym UniversityのJanghee Lee氏らは、ER+/HER2-乳がん患者におけるKi-67とRSとの関連、Ki-67と無再発生存期間(RFS)との関連を調べた。その結果、Ki-67とRSに中等度の相関が観察され、RSの低い患者においてKi-67高発現がsecondary endocrine resistanceリスク上昇と関連していた。JAMA Network Open誌2023年8月30日号に掲載。

 本コホート研究は、韓国の2つの病院で2010年3月~2020年12月に21遺伝子RS検査を受け、ER+/HER2-乳がんの治療を受けた女性を対象とした。Ki-67とRFSとの関連はCox比例ハザード回帰モデル、Ki-67とsecondary endocrine resistanceとの関連はバイナリロジスティック回帰モデルを用いて検討した。Ki-67は20%以上を高発現、RS 25以下を低リスクとした。secondary endocrine resistanceは、術後内分泌療法開始2年以降の再発および5年の術後内分泌療法終了後1年以内の再発と定義した。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者2,295例(平均年齢:49.8歳、標準偏差:9.3歳)のうち、1,948例(84.9%)が低リスク、1,425例(62.1%)がKi-67低発現であった。追跡期間中央値は40ヵ月(範囲:0~140ヵ月)。
・RSとKi-67は中等度の相関を示した(R=0.455、p<0.001)。
・Ki-67低発現患者のうち94.1%は低リスクだったが、Ki-67高発現患者では低リスクは69.8%だった。
・低リスク患者では、Ki-67によってRFSが有意に異なっていた(低値98.5% vs.高値96.5%、p=0.002)。
・化学療法なしの低リスク患者1,807例では、Ki-67高値が再発と独立して関連していた(ハザード比:2.51、95%信頼区間[CI]:1.27~4.96、p=0.008)。
・3年以降の再発率はKi-67によって有意に差があった(低値98.7% vs.高値95.7%、p=0.003)が、3年以内の再発率は変わらなかった(低値99.3% vs.高値99.3%、p=0.90)。
・Ki-67は、化学療法なしの低リスク患者におけるsecondary endocrine resistanceと関連していた(オッズ比:2.49、95%CI:1.13~5.50、p=0.02)。

(ケアネット 金沢 浩子)