21遺伝子再発スコアが高いHR+早期乳がんでの術後化学療法の併用効果(TAILORx 2次解析)/ESMO2019

提供元:ケアネット

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公開日:2019/10/15

 

 リンパ節転移のないホルモン感受性(HR)陽性HER2陰性の早期乳がん患者で、21遺伝子アッセイによる再発スコアが高い(26〜100)場合、術後にタキサンとアントラサイクリン両方もしくはどちらかを含む化学療法と内分泌療法を併用したほうが、内分泌療法単独よりもアウトカムが良好であることが、TAILORx試験の2次解析で示唆された。スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Albert Einstein College of MedicineのJoseph A. Sparano氏が発表した。この結果はJAMA Oncology誌オンライン版2019年9月30日号に同時掲載された。

 乳がん組織の21遺伝子アッセイによる再発スコアが高い場合、化学療法によるベネフィットが得られることが予測され、低い場合は内分泌療法のみでも再発リスクが低いことが予測されている。しかし、再発スコアの高い患者にタキサンやアントラサイクリンを含むレジメンで治療した場合のアウトカムについて、前向き試験でのデータはほとんどない。今回、多施設無作為化試験であるTAILORx試験より、腋窩リンパ節転移のないHR陽性HER2陰性の早期乳がんのうち、再発スコアが26~100の患者を対象に、術後補助療法として内分泌療法と化学療法(レジメンは主治医選択)を実施した患者の無遠隔再発生存率(DRFI)と無浸潤疾患生存率(IDFS)が検討された。

 主な結果は以下のとおり。

・適格患者9,719例のうち再発スコア26~100の患者は1,389例(14%)で、年齢中央値は56歳(範囲:23~74歳)であった。
・主な化学療法レジメンは、ドセタキセル+シクロホスファミド(TC)42%、アントラサイクリンのみ(A without T)24%、アントラサイクリン+タキサン(A and T)18%、シクロホスファミド/メトトレキサート/5-FU(CMF)4%で、その他 6%、化学療法なし 6%であった。
・化学療法と内分泌療法で治療された患者のDRFIは、5年で93.0%(標準誤差[SE]:0.8%)、9年で86.8%(SE:1.7%)であったのに対し、内分泌療法単独では、B20試験における化学療法の治療効果に基づいて予測されたDRFIは5年で78.8%(SE:14.0%)、9年で65.4%(SE:10.4%)であった。
・同様に、化学療法と内分泌療法で治療された患者のIDFSは、5年で88.1%(SE:0.8%)、9年76.28%(SE:1.7%)で、内分泌療法単独では、予測されたIDFSは5年で74.7%(SE:14.6%)、9年で55.3%(SE:8.9%)であった。
・レジメン別にみると、5年DRFIは、TC 92.7%、A without T 92.3%、A and T 95.1%、CMF 88.5%、その他 95.5%、また、5年IDFSは、TC 88.1%、A without T 87.4%、A and T 88.6%、CMF 84.0%、その他 91.3%であった。

 これらの結果から、Sparano氏は「術後化学療法の投与指針として21遺伝子アッセイの使用を支持するエビデンスが追加された」と述べた。

(ケアネット 金沢 浩子)