診察室での会話を基にした対話型AI、BRCA検査への疑問や不安に対応/AZ

提供元:ケアネット

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公開日:2023/10/12

 

 乳がんと診断されてから、患者は治療法選択のほか再建や遺伝子検査を行うかなどたくさんの意思決定を求められる。とくに遺伝子検査については、乳がんと遺伝の関係の理解に加え家族への配慮も必要となるが、外来で説明に十分な時間を設けるのが難しいことも多い。9月27日、アストラゼネカは「乳がんを遺伝子レベルで理解することの重要性~遺伝性乳がん治療における課題とは~」と題したメディアセミナーを開催し、大野 真司氏(相良病院)、乳がん経験者の園田 マイコ氏が登壇。BRCA検査やHBOCについての理解を促す患者向けのサポートツールとして、対話型人工知能WEBアプリ「ブルーカ」が紹介された。

 ブルーカは、60例の患者と複数名の医師の診察室での実際の会話を分析して作られている。分析の結果みえてきたのは、

・知りたいことの傾向(よくある質問)
・患者の感情として恐れや悲しみが強い
・「質問を考えること」が患者にとっては大変

 という3点だった。これらを踏まえてブルーカには下記の機能が搭載されている。

・よくある質問とその回答データを基に、回答を提示する機能
・投げかけられた質問に共感を示し、ブルーカというキャラクターが色味や表情を変えて回答する機能
・アプリ利用者(患者)の“沈黙”を察知し、集積されているよくある質問を例示する機能

 開発に携わった大野氏は、「単純に回答が提示されるのではなく、ブルーカが共感を示しながら対話の中で回答を示すという点が大きいのではないか」と話し、園田氏は「先生に質問できる時間は限られていて、一度聞いただけでは理解できないことも多い。自宅などでゆっくりアプリを使い、繰り返し回答を確認できれば、自分の中で咀嚼しながら正しい情報を理解できるのではないか」と期待を寄せた。

 ブルーカは主治医から「血液による遺伝子検査について」という冊子を渡され、表示されている二次元コードを読み込むと、スマートフォンで利用できる。

(ケアネット 遊佐 なつみ)