生殖細胞系列BRCA変異陽性(gBRCAm)HER2陰性転移乳がんにおいて、オラパリブは医師選択の化学療法(TPC)に対し主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、全生存期間(OS)中央値はオラパリブ群19.3ヵ月vs.TPC群17.1ヵ月(p=0.513)と報告されている。今回、従来の報告より25.7ヵ月長いOSの延長フォローアップ解析結果を、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのMark E. Robson氏らがEuropean Journal of Cancer誌オンライン版2023年2月14日号に報告した。
OlympiAD試験では、gBRCAmかつHER2陰性で、アントラサイクリン系およびタキサン系薬剤の治療歴を有し、転移疾患に対する化学療法歴≦2ラインの患者を、オラパリブ群またはTPC群(医師の選択によりカペシタビン、エリブリンまたはビノレルビンのいずれかを使用)に2:1の割合で無作為に割り付けて比較検討している。延長フォローアップ期間中、OSは層別log-rank検定(全体集団)およびCox比例ハザードモデル(事前に指定されたサブグループ)を用いて6ヵ月ごとに分析された。
今回報告された主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値はオラパリブ群18.9ヵ月vs.TPC群15.5ヵ月だった。
・全体集団(302例)におけるOS中央値はオラパリブ群19.3ヵ月vs.TPC群17.1ヵ月だった(ハザード比[HR]:0.89、95%信頼区間[CI]:0.67~1.18)。
・3年生存率は、オラパリブ群27.9% vs.TPC群21.2%だった。
・3年以上試験治療を受けた患者はオラパリブ群で8.8%だったのに対し、TPC群では0%だった。
・転移疾患に対する1次治療(1L)の患者において、OS中央値はオラパリブ群でTPC群よりも長く(22.6ヵ月vs.14.7ヵ月、HR:0.55、95%CI:0.33~0.95)、3年生存率はオラパリブ群40.8% vs.TPC群12.8%となった。オラパリブに関連する新たな重篤な有害事象は認められていない。
著者らは、今回の追加解析でのOS結果はOlympiAD試験の過去の解析結果と一致していたとし、とくに1Lにおけるオラパリブによる長期生存ベネフィットの可能性を支持するものだとまとめている。
(ケアネット 遊佐 なつみ)