横浜市立大学 循環器・腎臓・高血圧内科学教室の塚本 俊一郎氏らの研究グループは、日本人の2型糖尿病患者を対象に、新規GLP-1RAであるセマグルチドやGLP-1/GIPデュアルアゴニストであるチルゼパチドについて、従来の薬剤との比較や用量毎の治療効果の違いをネットワークメタ解析手法で解析した。その結果、チルゼパチドは比較した薬剤の中で最も体重減少とHbA1cの低下効果が高く、目標HbA1c(7%未満)の達成はチルゼパチドとセマグルチドで同等だった。Diabetes, Obesity and Metabolism誌2023年10月12日号の報告。
日本人2型糖尿病患者3,875例を解析
研究方法として2023年7月までのPubMed、MEDLINE、EMBASE、Cochrane Libraryを系統的に検索。日本人の2型糖尿病患者においてGLP-1RAまたはGIP/GLP-1RAを比較した無作為化対照試験(RCT)を選択した。HbA1c値および体重減少における有効性に焦点を当て、間接的に治療法を比較するためにネットワークメタ解析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・合計18のRCT、3,875例の日本人2型糖尿病患者が解析対象となった。
・チルゼパチド15mgは、セマグルチド1.0mg皮下投与およびセマグルチド14mg経口投与と比較して、HbA1c値および体重を最も有意に減少させた。
HbA1c:平均差(95%信頼区間[CI])-0.52(-0.96~-0.08)および-1.23(-1.64~-0.81)
体重:平均差(95%CI)-5.07(-8.28~-1.86)および-6.84(-8.97~-4.71)
・セマグルチド皮下投与は、経口投与と比較してHbA1cの優れた低下を示した。
・皮下セマグルチド、経口セマグルチドともにデュラグルチド、リラグルチド、リキシセナチドなどの従来のGLP-1RAよりも有効だった。
(ケアネット 稲川 進)