EGFR変異陽性NSCLC脳転移例、ダコミチニブの奏効率97%

提供元:ケアネット

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公開日:2023/12/07

 

 ダコミチニブは第2世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であり、進行または転移を有するEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、第1世代EGFR-TKIのゲフィチニブと比べて無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を改善したことが報告されている1,2)。しかし、脳転移を有するNSCLC患者に対するダコミチニブの有用性は明らかになっていない。そこで韓国・成均館大学のHyun Ae Jung氏らの研究グループは脳転移を有するEGFR遺伝子変異陽性進行NSCLC患者におけるダコミチニブの有用性を検討した。その結果、ダコミチニブの頭蓋内奏効率(iORR)およびORRは共に96.7%であり、無増悪生存期間(PFS)中央値も17.5ヵ月と良好であった。本研究結果は、ESMO Open誌2023年11月27日号で報告された。

・試験デザイン:単施設海外第II相単群試験
・対象:未治療の脳転移(5mm以上)を有するEGFR遺伝子変異陽性(ex19del/L858R)進行NSCLC患者30例
・投与方法:ダコミチニブ45mg(1日1回)を病勢進行または許容できない毒性の発現まで(75歳超またはBSA 1.5m2未満の場合は開始用量を30mg[1日1回]とすることを許容)
・評価項目
[主要評価項目]iORR
[副次評価項目]頭蓋内PFS(iPFS)、ORR、PFS、安全性など
・データカットオフ日:2023年2月28日

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者のEGFR遺伝子変異の内訳は、ex19delが46.7%、L858Rが53.3%であった。また、65歳以上の割合は36.7%、女性の割合は70%であった。
・データカットオフ時点の追跡期間中央値は25.6ヵ月(範囲:8.6~26.1)であった。
・iORRは96.7%(CR:19例、PR:10例)であった。
・iPFS中央値は未到達で、12ヵ月iPFS率は78.6%、18ヵ月iPFS率は70.4%であった。
・ORRは96.7%(CR:1例、PR:28例)であった。
・PFS中央値は17.5ヵ月であった。
・Grade3の治療関連有害事象が16.7%に認められたが(下痢[10%]、ざ瘡様皮膚炎[6.7%]など)、Grade4以上は認められなかった。ダコミチニブの減量を要した患者の割合は83.3%であったが、ダコミチニブによる治療を完全に中止した患者はいなかった。

(ケアネット 佐藤 亮)