携帯電話依存症は、学生の先延ばし癖に影響を及ぼす重要な因子として、広く研究されている。しかし、携帯電話依存症と先延ばし癖との相関関係とその影響力は、依然として明らかになっていない。中国・上海大学のXiang Zhou氏らは、学生の携帯電話依存症と先延ばし癖との関係、参加者の個人的特性(教育レベル、性別)、測定ツール、社会的状況要因(出版年、文化)の緩和効果を調査するため、メタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2024年2月号の報告。
PubMed、Web of Science、Embase、PsycINFO、China National Knowledge Infrastructure(CNKI)、Wanfang、Weipuよりシステマティックに検索し、適格基準を満たす研究を収集した。メタ解析には、CMA3.0ソフトウェアを用い、緩和効果のテストには、分散メタ解析(ANOVA)を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・75件の研究、4万8,031例をメタ解析に含めた。
・変量効果モデルの総合エフェクトサイズでは、学生における携帯電話依存症と先延ばし癖との有意な正の相関が認められた(r=0.376、95%信頼区間:0.345~0.406)。
・教育レベル、性別、文化、携帯電話依存症の測定ツールは、携帯電話依存症と先延ばし癖との関係を有意に緩和した。
・この関係は、出版年や先延ばし癖の測定ツールでは緩和されなかった。
著者らは「携帯電話依存症は、学生の先延ばし癖と正の相関がある」とし、「学生では携帯電話依存症の発生率が高く、先延ばし癖の潜在的なリスク因子であることを考慮すると、学生の先延ばし癖を予防するために、携帯電話依存症の特定および介入に注意を払う必要がある」としている。
(鷹野 敦夫)