10代での妊娠とうつ病~JECS研究

提供元:ケアネット

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公開日:2023/12/28

 

 10代での妊娠は、さまざまな要因によりうつ病リスクを増加させる可能性がある。若年成人期の妊娠は、高齢期の妊娠と比較し、複数のうつ病リスク因子に影響を及ぼすと考えられる。しかし、若年成人期の妊娠におけるうつ病関連のデータは不足している。国立成育医療研究センターの石塚 一枝氏らは、10代および若年成人期の妊娠とうつ病との関連を調査した。その結果、10代および若年成人期の妊娠は、それ以降の妊娠と比較し、うつ病リスクが高いことが示唆された。Archives of Women's Mental Health誌オンライン版2023年11月22日号の報告。

 全国的な出生コホート研究である「子どもの健康と環境に関する全国調査(JECS)」のデータを用いて、検討を行った。各年齢層(14~19歳、20~24歳、25~29歳、30~34歳、35歳以上)とうつ病との関連を調査するため、行動的特性および社会人口統計学的特性を調整した後、多変量ロジスティック回帰を実施した。うつ病の評価には、ケスラー心理的苦痛尺度(K6)を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・妊娠アンケートに回答した人は、9万6,808人。
・10代(14~19歳)および若年成人期(20~24歳)の妊娠は、高齢期(35歳以上)の妊娠と比較し、うつ病リスクの増加と関連していた。
 【14~19歳】OR:4.28、95%信頼区間(CI):3.24~5.64
 【20~24歳】OR:3.00、95%CI:2.64~3.41
・共変量で調整したところ、うつ病リスクの軽減が認められたが、10代および若年成人期の妊娠は、それ以降の妊娠と比較し、うつ病リスクの増加は有意なままであった。
 【14~19歳】OR:2.38、95%CI:1.77~3.21
 【20~24歳】OR:2.14、95%CI:1.87~2.46

 著者らは「これらの調査結果は、10代および若年期の妊婦には、うつ病関連の予防および介入を優先的に実施することを示唆している」としている。

(鷹野 敦夫)