低Na血症、起こりやすい降圧薬と発症タイミング

提供元:ケアネット

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公開日:2024/01/09

 

 デンマーク国立血清研究所のNiklas Worm Andersson氏らが、サイアザイド系利尿薬による低ナトリウム血症(以下、低Na血症)の累積発生率について、その他薬効クラスの降圧薬と比較・推定を行った。その結果、治療開始から最初の数ヵ月間において、サイアザイド系利尿薬では添付文書等で示されている1)よりも低Na血症のリスクが高かったことが明らかになった。Annals of Internal Medicine誌オンライン版2023年12月19日号掲載の報告。
1.頻度不明/まれ/非常にまれ(10,000分の1~100分の1未満と定義)と記載されている。

 本研究は2014年1月1日~2018年10月31日にデンマークで実施された人口登録ベースの観察研究を用いて、2つのtarget trial emulation2)を行った。主要評価項目は治療開始から2年以内の血中Na値130mmol/L未満の累積発生率。
2.標的試験の模倣。観察研究データを用いて、仮想的なランダム化臨床試験を模倣すること。

 対象者は直近で降圧薬が処方されておらず、低Na血症の既往歴のない40歳以上。1つ目のtarget trial emulationでは、bendroflumethiazide(BFZ、国内未承認)とカルシウム拮抗薬(CCB)の新規使用について比較し、2つ目のtarget trial emulationでは、ヒドロクロロチアジド・RA系阻害剤の配合剤とRA系阻害薬の新規使用について比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・1つ目のtarget trial emulationではBFZ3万7,786例、CCB4万4,963例の新規処方患者を比較し、2つ目では配合剤1万1,943例とRA系阻害薬8万5,784例の新規処方患者を比較した。
・2年間における低Na血症の累積発生率は、BFZで3.83%、配合剤で3.51%だった。リスク差は、BFZvs.CCBで1.35%(95%信頼区間:1.04~1.66)、配合剤vs.RA系阻害薬では1.38%(同:1.01~1.75)だった。
・リスク差は、高齢、併存疾患の負荷が高いほど大きくなり、各ハザード比は、治療開始最初の30日間では3.56(同:2.76~4.60)および4.25(同:3.23~5.59)で、治療開始1年後のHRは1.26(同:1.09~1.46)および1.29(同:1.05~1.58)だった。

 ただし、本研究の制限として、研究者らは「処方箋の記載と実際に使用された薬剤が同等という仮定に基づく交絡が残存する可能性が高い」としている。

(ケアネット 土井 舞子)