糖尿病の血糖管理において、先進糖尿病デバイスとして持続血糖モニター(CGM)が活用されている。CGMには間歇スキャン式(isCGM)とリアルタイムCGMの2方式がある。間歇スキャン式では、上腕の後ろに装着されたセンサーをワイヤレスでスキャンすることでグルコース値が測定でき、リーダーやスマートフォンを使用する手軽さが魅力的だ。海外の先行研究では、スキャンの頻度が増すほど、HbA1cやTIR(time in range)などの血糖管理指標が改善すると報告されている。そのエビデンスに基づいて、これまでは「できるだけ多くスキャンするように」という指導がされてきたが、70~180mg/dLのTIR70%超を達成する最適なスキャン回数は明らかではなかった。
坂根 直樹氏(京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長)らのFGM-Japan研究グループ(全9施設)は日本人1型糖尿病211例(平均年齢50.9±15.2歳、男性40.8%、糖尿病期間16.4±11.9年、CGM使用期間2.1±1.0年、平均HbA1c7.6±0.9%)を対象に、過去90日間のグルコース値データから、TIRを算出し、ROC曲線から最適なスキャン回数を明らかにするとともに、そのスキャン回数に与える要因も明らかにした。Diabetology International誌2023年9月12日号の報告。
主な結果は以下のとおり。
・平均スキャン回数は10.5±3.3回/日。
・スキャン回数はTIRと正の相関、TAR(time above range)と負の相関があったが、TBR(time below range)とは有意な相関は認められなかった。
・スキャン回数は低血糖不安-行動スコアと正の相関があり、一部の血糖変動指標(ADRR[average daily risk range]、%CV[coefficient of variation]など)と負の相関があった。
・運動習慣のある者は、ない者に比べてスキャン回数が有意に多かった。
・TIRが70%超に対するスキャン回数のAUCは0.653で、最適なカットオフ値は1日に11.1回のスキャンだった。
坂根氏は、「今までは『できるだけスキャンしなさい』と患者に指導することが多かったが、本研究から目標血糖を達成するために3食前後、起床と就寝時、間食や運動前後など、12回のスキャンを推奨するエビデンスが得られた。また、運動習慣がある人はスキャン回数が多いことや、スキャン回数が多い人ほど低血糖に対する対処行動が多いという結果はリブレを用いた糖尿病療養指導に大いに役立つと考えられる」と述べている。
(ケアネット 稲川 進)