プラチナ製剤ベースの化学療法に感受性のある進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する維持療法として、オラパリブ±デュルバルマブの有効性を検討した第II相DORA試験において、デュルバルマブ併用/非併用のいずれの群も化学療法による維持療法のヒストリカルコントロールより無増悪生存期間(PFS)が長く、BRCA野生型プラチナ製剤感受性の進行TNBCの患者集団において、化学療法なしの維持療法で持続的な病勢コントロールが可能なことが示唆された。シンガポール・国立がんセンターのTira J. Tan氏らがClinical Cancer Research誌オンライン版2024年1月18日号で報告した。
本試験は国際多施設第II相試験で、プラチナ製剤ベースの化学療法による1次治療もしくは2次治療で病勢安定(SD)持続または完全/部分奏効(CR/PR)が得られたTNBC(エストロゲン/プロゲステロン受容体発現率10%以下)患者を対象とし、オラパリブ単独群(オラパリブ300mg1日2回)とデュルバルマブ併用群(4週ごとにデュルバルマブ1,500mgを併用)に1:1で無作為に割り付けた。主要評価項目はPFSで、化学療法を継続するヒストリカルコントロールと比較した。
主な結果は以下のとおり。
・計45例をオラパリブ単独群23例、デュルバルマブ併用群22例に無作為に割り付けた。
・追跡期間中央値9.8ヵ月の時点で、無作為化からのPFS中央値はオラパリブ単独群で4.0ヵ月(95%信頼区間[CI]:2.6~6.1)、デュルバルマブ併用群で6.1ヵ月(同:3.7~10.1)であり、いずれもヒストリカルコントロールより有意に長かった(順にp=0.0023、p<0.0001)。
・臨床的有用率(SDが24週以上またはCR/PR)は、オラパリブ単独群で44%(95%CI:23~66)、デュルバルマブ併用群で36%(同:17~59)であった。
・生殖細胞系列BRCA遺伝子変異やPD-L1発現にかかわらず、持続的な臨床的有用性が認められ、とくにオラパリブ単独群ではプラチナ製剤の前治療に対するCR/PRと関連する傾向がみられた。
・安全性に関する新たなシグナルは報告されなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)