北海道を舞台にマイクロRNA検査を用いた肺がん前向き観察研究を開始/Craif

提供元:ケアネット

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公開日:2024/01/29

 

 遺伝子調整機能を有し、がんの診断マーカーとして期待されるマイクロRNA(miRNA)1)を活用した肺がんのスクリーニング検査が北海道を舞台に始まる。がんの早期発見に対する次世代検査などを開発する名古屋大学発のベンチャー企業Craifが、北海道大学病院と共同研究契約を締結した。

 北海道は広大な土地という条件に加え、過疎と高齢化が進むことで、検診率が全国で最も低い2)。とくに寒さの厳しい冬期は検診受診率が下がる。前向き観察研究を行う地域の1つである岩内地区は、北海道の中で、最も肺がん死亡率の高い地域である。死亡率の高さの理由として、同地区における、高い喫煙率と極端に低い検診受診率が考えられている。

 このような背景の中、Craifは2023年2月に、北海道の最先端医療機関等と連携して、がん早期発見に向けたコンソーシアム「CRUSH-Cancer(クラッシュキャンサー)」を設立した。コンソーシアム活動の一環として、医療技術協力を受けている北海道大学と地域医療を担う岩内病院と共に新たなプロジェクトを行う。

 プロジェクトの主要な取り組みとして、尿中miRNAをAIで分析するがんリスク検査「マイシグナル・スキャン」を用いた、今回の肺がんスクリーニングの前向き観察研究が行われる。研究では、岩内町、余市町の肺がん高リスク住民(喫煙者など)を対象に、肺がんの診断率を評価する。さらに、追跡調査を行い、肺がんの罹患率や予後に関連する因子を特定する予定。

 Craifは「マイシグナル・スキャン」を100セット無償提供する。

 研究責任医師である北海道大学病院呼吸器外科の加藤 達哉氏は、「尿中miRNAによる検診法は、自宅でも施行できる尿検査であることから、高齢化・過疎化がさらに進む北海道や日本全体においても、検診活動に革命を起こす可能性があると期待している」と述べる。

(ケアネット 細田 雅之)