統合失調症患者は、一般集団と比較して、死亡率が高いといわれている。しかし、日本における統合失調症患者の死亡率を調査した最近の研究はなかった。ドイツ・ミュンヘン工科大学の野村 信行氏らは、日本における統合失調症患者の超過死亡率と死亡率に対するリスク因子を評価するため、レトロスペクティブ研究を実施した。Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology誌オンライン版2024年1月20日号の報告。
対象は、2013年1月~2017年12月に山梨県立北病院で統合失調症または統合失調感情障害と診断された患者。統合失調症患者と一般集団の死亡率の比較には、標準化死亡率(SMR)を用いた。死亡率に対するリスク因子を推定するため、ロジスティック回帰分析を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・統合失調症患者1,699例(男性:893例、女性:806例)のうち、研究期間中に死亡が認められた患者は104例(男性:55例、女性:49例)であった。
・すべての原因によるSMRは2.18(95%信頼区間[CI]:1.76~2.60)、自然死のSMRは2.06(1.62~2.50)、不自然死のSMRは5.07(2.85~7.30)であった。
・死亡リスクと関連が認められた因子は、男性(調整オッズ比[aOR]:2.24、95%CI:1.10~4.56)、年齢(aOR:1.12、1.09~1.16)、バルビツール酸の使用(aOR:8.17、2.07~32.32)であった。
著者らは、「日本における統合失調症患者の死亡率は、依然として高いままであり、統合失調症患者の死亡率の傾向を評価するためには、さらなる研究が求められる」としている。
(鷹野 敦夫)