抗うつ薬治療に対し効果不十分な日本人のうつ病患者における、ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールの有効性、受容性、忍容性、安全性プロファイルの違いを検討するため、藤田医科大学の岸 太郎氏らは、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。その結果、全体としてブレクスピプラゾールとアリピプラゾールは、同程度の有効性が認められ、良好なリスクベネフィットバランスを有していることが確認された。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2024年1月14日号の報告。
変量効果モデルを用いたシステマティックレビュー、および頻度主義ネットワークメタ解析を行った。主要アウトカムは、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)スコアとした。その他のアウトカムには、臨床全般印象度-重症度(CGI-S)スコア、社会機能評価尺度(SFS)、非治療反応率、非寛解率、すべての原因による治療中止、有害事象による治療中止、1つ以上の有害事象発現、重篤な有害事象、アカシジア、振戦、体重増加を含めた。
主な結果は以下のとおり。
・検索の結果、3件の二重盲検ランダム化プラセボ対照試験が特定された。
・内訳は、ブレクスピプラゾールの研究(ブレクスピプラゾール1mg/日および2mg/日)1件、アリピプラゾールの研究(3mg/日および日本承認用量内のフレキシブルドーズ)2件であった(1,736例)。
・ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールは、プラセボと比較し、両剤ともに有効性が認められた。
・ブレクスピプラゾールは、プラセボと比較し、有害事象による治療中止が多かったが、アリピプラゾールでは認められなかった。
・アリピプラゾールは、プラセボと比較し、1つ以上の有害事象発現が多かったが、ブレクスピプラゾールでは認められなかった。
・ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールは、プラセボと比較し、アカシジアと体重増加リスクが高かった。
・いずれのアウトカムにおいても、ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールとの間に、有意な差は認められなかった。
・ブレクスピプラゾール1mg/日は、有効性が良好であったが、体重増加リスクが認められた。
・ブレクスピプラゾール2mg/日は、有効性は良好であったが、有害事象による治療中止、アカシジア、体重増加リスクが認められた。
・ブレクスピプラゾール2mg/日におけるアカシジアのリスクは、初回用量0.5mg/日で減少が認められた。
(鷹野 敦夫)