藤田医科大学の岸 太郎氏らは、維持期の成人うつ病の治療に対する抗うつ薬の有効性、許容性、忍容性、安全性を比較するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。その結果、維持期の成人うつ病に対する抗うつ薬治療において、妥当な有効性、許容性、忍容性が認められた薬剤は、desvenlafaxine、パロキセチン、ベンラファキシン、ボルチオキセチンであることを報告した。Molecular Psychiatry誌オンライン版2022年10月17日号の報告。
PubMed、Cochrane Library、Embaseデータベースより、エンリッチメントデザインを用いた二重盲検ランダム化プラセボ対照試験(非盲検期間中に抗うつ薬治療で安定し、その後、同じ抗うつ薬群またはプラセボ群にランダム化)を検索した。アウトカムは、6ヵ月後の再発率(主要アウトカム、有効性)、すべての原因による治療中止(許容性)、有害事象による治療中止(忍容性)、個々の有害事象発生率とした。リスク比および95%信用区間を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・メタ解析には、20種類の抗うつ薬およびプラセボに関する34件の研究が含まれた。
・対象患者数は9,384例(平均年齢:43.80歳、女性の割合:68.10%)であった。
・抗うつ薬には、agomelatine、アミトリプチリン、bupropion、citalopram、desvenlafaxine、デュロキセチン、エスシタロプラム、fluoxetine、フルボキサミン、levomilnacipran、ミルナシプラン、ミルタザピン、nefazodone、パロキセチン、reboxetine、セルトラリン、tianeptine、ベンラファキシン、vilazodone、ボルチオキセチンが含まれた。
・6ヵ月後の再発率に関して、プラセボよりも優れていた薬剤は、アミトリプチリン、citalopram、desvenlafaxine、デュロキセチン、fluoxetine、フルボキサミン、ミルタザピン、nefazodone、パロキセチン、reboxetine、セルトラリン、tianeptine、ベンラファキシン、ボルチオキセチンであった。
・すべての原因による治療中止率に関して、プラセボよりも優れていた薬剤は、desvenlafaxine、パロキセチン、セルトラリン、ベンラファキシン、ボルチオキセチンであった。ただし、セルトラリンは有害事象による治療中止率が高かった。
・プラセボと比較した個々の有害事象発生率については、ベンラファキシンではめまいの発生率が低く、desvenlafaxine、セルトラリン、ボルチオキセチンでは嘔気/嘔吐の発生率が高かった。
(鷹野 敦夫)