Helicobacter pylori(H. pylori)陽性で除菌治療を受けた場合、治療を受けなかった陽性者と比較して、大腸がんの発症リスクと死亡リスクの両方が有意に低減したことを、米国・VA San Diego Healthcare SystemのShailja C. Shah氏らが明らかにした。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年3月1日号掲載の報告。
近年、H. pylori感染と大腸がんのリスクとの間に正の関連があることが報告されている1)。Shah氏らの研究グループは、H. pylori感染と陽性者における除菌治療が、大腸がんの発症率と死亡率に及ぼす影響を調査するためにコホート研究を行った。
解析には、1999~2018年に退役軍人健康管理局でH. pylori検査を行った退役軍人のデータが用いられた。追跡調査は、大腸がんの発症、大腸がんまたは他の要因による死亡、2019年12月31日のいずれか早い日まで継続した。主要評価項目は大腸がんの発症率と死亡率であった。
主な結果は以下のとおり。
・H. pylori検査を受けた81万2,736人のうち、陽性は20万5,178例(25.2%)であった。
・陰性群と比べて、陽性群では大腸がん発症リスクは18%高く(調整ハザード比[aHR]:1.18、95%信頼区間[CI]:1.12~1.24)、死亡リスクは12%高かった(aHR:1.12、95%CI:1.03~1.21)。
・除菌治療を受けた群と比べて、治療を受けていない群では大腸がん発生リスクは23%高く(aHR:1.23、95%CI:1.13~1.34)、死亡リスクは40%高かった(aHR:1.40、95%CI:1.24~1.58)。
・これらの結果は、血清学的検査を受けていない群でより顕著であった。
これらの結果より、研究グループは「H. pylori陽性は、大腸がんの発症および死亡と関連している可能性があり、未治療の人、とくにに活動性の感染が検出された人が最もリスクが高いようである」とまとめた。
(ケアネット 森 幸子)