マルチターゲット便中RNA(mt-sRNA)検査(ColoSense)は、大腸がんおよび進行腺腫の検出感度が高く、従来の免疫便潜血検査(FIT)と比較し感度を有意に改善することが認められた。また、大腸内視鏡検査で病変が認められない特異度は、既存の非侵襲的な分子スクリーニング検査と同等であった。米国・ワシントン大学のErica K. Barnell氏らが、医療機器クラスIIIとしての承認申請を行うために、平均的リスクの45歳以上を対象に実施された盲検化第III相試験「CRC-PREVENT試験」の結果を報告した。JAMA誌2023年11月14日号掲載の報告。
分散型臨床試験により約1.4万人を登録、8,920例を解析
研究グループは、オンラインのソーシャルメディアを用いて参加者の募集活動を行い、2021年6月~2022年6月の間に、米国の49州において分散型ナースコールセンターを介し、平均的な大腸がんのリスクがある45歳以上の計1万4,263例を登録した。
登録された参加者には便検体採取キットを提供し、便検体採取後72時間以内に採取キットを中央検査施設に送付してもらい、その後、地域の内視鏡センターで大腸内視鏡検査を受けてもらった(内視鏡医は盲検下で検査を実施)。
便検体は、従来FIT、便中の8種類のRNA転写物濃度、および自己報告の喫煙状況を組み込んだmt-sRNA検査を行い、結果(陽性または陰性)を判定した。
主要アウトカムは、大腸がんおよび進行腺腫の検出に対するmt-sRNA検査の感度、および大腸内視鏡検査で病変が認められない場合の特異度とした。
登録された1万4,263例のうち、mt-sRNA検査および大腸内視鏡検査をいずれも完遂し、適格であった8,920例が解析対象となった。
mt-sRNA検査の大腸がん検出感度は94.4%、特異度は87.9%
8,920例(平均年齢55歳[年齢範囲:45~90]、女性60%、アジア系4%、黒人11%、ヒスパニック系7%)のうち、36例(0.40%)に大腸がん、606例(6.8%)に進行腺腫が認められた。
mt-sRNA検査の大腸がん検出感度は94.4%(95%信頼区間[CI]:81~99)、進行腺腫検出感度は45.9%(95%CI:42~50)、大腸内視鏡検査で病変が認められない場合の特異度は87.9%(95%CI:87~89)であった。
mt-sRNA検査はFITと比較し、大腸がん(94.4% vs.77.8%、McNemarのp=0.01)および進行腺腫(45.9% vs.28.9%、McNemarのp<0.001)の感度が有意に高かった。
(ケアネット)