食事パターンと大腸がんリスクとの関連については、数多くの疫学研究が報告されているが相反する報告もあり、また人種・民族による違いもみられている。今回、中国・Beijing University of Chinese MedicineのMengyang He氏らが、主にヨーロッパ人である英国Biobankデータを用いて9つの食習慣と大腸がんリスクとの潜在的な因果関係をメンデルランダム化解析で検討した結果、遺伝的に予測されるアルコール・果物・肉・牛乳・菓子・紅茶の摂取と大腸がんに因果関係はないことが示唆された。一方、野菜との間には因果関係が示唆された。BMC Medical Genomics誌2024年1月17日号に掲載。
本研究では、英国Biobankから、アルコール(54万9,703人)、インスタントコーヒー(25万308人)、果物(21万947人)、肉(21万947人)、牛乳(4万1,306人)、菓子(2万5,521人)、紅茶(50万1,494人)、野菜(21万947人)、ヨーグルト/アイスクリーム(21万947人)の摂取習慣に関するゲノムワイド関連研究の要約データと大腸がんに関するデータ(症例:5,567例、対照:37万2,016例)を収集し、メンデルランダム化解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・野菜の摂取と大腸がんリスクとの間に正の因果関係が観察された(オッズ比[OR]:1.014、95%信頼区間[CI]:1.000~1.029、p=0.048)。
・アルコール(OR:1.012、95%CI:0.974~1.051、p=0.556)、果物(OR:1.007、95%CI:0.986~1.029、p=0.512)、肉(OR:1.000、95%CI:0.987~1.026、p=0.968)、牛乳(OR:1.019、95%CI:0.979~1.061、p=0.357)、菓子(OR:0.998、95%CI:0.991~1.004、p=0.524)、紅茶(OR:1.002、95%CI:0.994~1.009、p=0.672)の摂取習慣と大腸がんリスクとの間に因果関係は認められなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)