地中海食に含まれるハーブ/スパイスが2型糖尿病患者の血糖プロファイルに及ぼす影響を調査したシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、いくつかのハーブ/スパイス摂取が空腹時血糖、HbA1cおよびインスリン値の低下と関連していて、とくにショウガの摂取でそれらすべてが有意に改善したことを、スペイン・University of ZaragozaのMaria C. Garza氏らが明らかにした。Nutrients誌2024年3月7日号掲載の報告。
地中海食には豊富なハーブ/スパイスが含まれていて、それらが血糖値やコレステロール低下作用、抗酸化作用、抗炎症作用などを示す可能性が示唆されている。そこで研究グループは、地中海食に一般的に含まれるハーブ/スパイスが2型糖尿病患者の血糖プロファイルに及ぼす影響を調査した。
PubMed、Web of Science、Scopusの各データベースを2023年9月まで検索し、2型糖尿病の成人患者の血糖プロファイルに対するブラッククミン、クローブ、パセリ、サフラン、タイム、ショウガ、黒コショウ、ローズマリー、ターメリック、バジル、オレガノ、シナモンの影響を調査した介入研究を適格とした。主要アウトカムは空腹時血糖値、HbA1c、インスリン値の変化であった。
主な結果は以下のとおり。
●システマティックレビューの対象となった論文は77報で、このうち45報(45研究、3,050例)がメタ解析の対象となった。
●空腹時血糖値が有意に改善したのは、ブラッククミン、シナモン、ショウガ、ターメリック、サフランであった(以下、括弧内は95%信頼区間)。
・ブラッククミン摂取群:26.33mg/dL低下(-39.89~-12.77、p=0.0001)
・シナモン摂取群:18.67mg/dL低下(-27.24~-10.10、p<0.001)
・ショウガ摂取群:17.12mg/dL低下(-29.60~-4.64、p=0.0004)
・ターメリック摂取群:12.55mg/dL低下(-14.18~-10.86、p<0.001)
・サフラン摂取群:7.06mg/dL低下(-13.01~-1.10、p=0.020)
●HbA1cが有意に改善したのは、ショウガとブラッククミンであった。
・ショウガ摂取群:0.56%低下(-0.90~-0.22、p=0.0013)
・ブラッククミン摂取群:0.41%低下(-0.81~-0.02、p=0.0409)
●インスリン値が有意に改善したのは、ショウガとシナモンであった。
・ショウガ摂取群:1.69 IU/μL低下(-2.66~-0.72、p=0.0006)
・シナモン摂取群:0.76 IU/μL低下(-1.13~-0.39、p<0.0001)
※各ハーブ/スパイスの最も一般的な摂取量は、ブラッククミン:500mg、シナモン:1,000mg、ショウガ:2,000mg、ターメリック:2,000mg、サフラン:30~100mg。
著者らは、本研究の限界として「それぞれのハーブ/スパイスの用量が不均一であるため、有効用量を考慮することはできなかった」ことなどを挙げつつ、「ショウガは、地中海食のハーブ/スパイスの中で、空腹時血糖、HbA1cおよびインスリン値の3つの検査結果すべてに有意な影響をもたらす独特のものであるようだ」とまとめた。
(ケアネット 森 幸子)