統合失調症患者の口腔機能の状態は、あまりわかっていない。新潟大学の渡部 雄一郎氏らは、日本人統合失調症入院患者の口腔機能に関して、横断研究を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2024年4月11日号の報告。
日本人統合失調症入院患者130例を対象に、咬合力、舌口唇運動機能、舌圧、咀嚼機能などの口腔機能を測定した。次に、非高齢患者63例と高齢患者67例の口腔機能低下の臨床症状の頻度を比較した。同様に、これまでの日本における研究より高齢対照者98例のデータを用いて、比較を行った。
主な結果は以下のとおり。
・咬合力低下の頻度は、高齢患者で76.2%であり、非高齢患者(43.9%)および高齢対照者(43.9%)よりも有意に高かった。
・舌口唇運動機能低下の頻度は、高齢患者で97.0%、非高齢患者で96.8%であり、高齢対照者(56.1%)よりも有意に高かった。
・舌圧低下の頻度は、高齢患者で80.7%、非高齢患者で66.1%であり、高齢対照者(43.9%)よりも有意に高かった。
・咀嚼機能低下の頻度は、高齢患者(76.5%)が最も高く、次いで非高齢者(54.8%)、高齢対照者(15.3%)の順であった。
著者らは、「日本人統合失調症入院患者では、高齢者、非高齢者のいずれにおいても、高齢対照者と比較し、口腔機能低下が認められる」としている。
(鷹野 敦夫)