愛知学院大学の黒川 誉志哉氏らは、統合失調症入院患者における口腔衛生の状態と不良となる因子を明らかにするため、調査を行った。その結果、統合失調症患者は、口腔衛生状態が不良である傾向があり、バーゼル指数[BI]、男性、ADLの低さが口腔衛生不良と関連している可能性が示唆された。また、高齢になるほど虫歯リスクが高くなることも報告された。International Journal of Dental Hygiene誌オンライン版2022年8月3日号の報告。
対象は、統合失調症入院患者249例。口腔衛生状態(歯石指数[CI]、歯垢指数[DI])、虫歯歴を有する歯の平均数(平均DMFT)、関連因子(入院、クロルプロマジン換算量、年齢、バーゼル指数、歯磨きの頻度、口腔セルフケア能力)を含む改訂版の口腔評価ガイド(ROAG)について調査を行った。
主な結果は以下のとおり。
・口腔衛生状態の結果は、以下のとおりであった(中央値[範囲])。
●CI:0.5(0~6.0)
●DI:1.7(0~6.0)
●ROAG:10.0(7.0~15.0)
・平均DMFTは21.7±7.3であった。
・クロルプロマジン換算平均量は524.4±353.6mg、BIは76.4±30.7であった。
・BIとDIとの間に負の相関があり(r=-0.34)、年齢と平均DMFTとの間に正の相関が確認された(r=0.57)。
・男性患者は、女性患者よりも口腔状態(ROAG)が不良な傾向が認められた。
・最小二乗重回帰分析では、口腔健康状態に関連する因子として以下が確認された。
●DIに対するBI
●平均DMFTに対する年齢
●ROAGに対する性別
●CI、DI、平均DMFTに対する口腔セルフケア能力
(鷹野 敦夫)