片頭痛患者における睡眠障害併存が中枢性感作に及ぼす影響

提供元:ケアネット

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公開日:2024/05/20

 

 片頭痛患者では、睡眠障害が見られることが多く、このことがQOLに影響を及ぼす。また、中枢感作は、片頭痛の重症度や慢性化と関連している可能性がある。獨協医科大学の鈴木 圭輔氏らは、併存する睡眠障害の数が中枢感作の影響を介して頭痛関連障害に及ぼす影響を調査した。Frontiers in Neurology誌2024年2月26日号の報告。

 連続した片頭痛患者215例を対象に、横断的研究を実施した。不眠症の定義は、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)総スコア5超とした。レム睡眠行動障害の可能性は、RBDスクリーニングスコア5以上と定義した。日中の過度な眠気の定義は、エプワース眠気尺度(ESS)スコア10以上とした。睡眠時無呼吸症候群の疑いの定義は、いびきまたは睡眠時無呼吸症候群の症状が3夜/週以上とした。中枢感作の評価には、Central Sensitization Inventory(CSI)を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・片頭痛患者でみられた睡眠障害は、レストレスレッグス症候群(25.6%)、不眠症(71.6%)、日中の過度な眠気(34.4%)、睡眠時無呼吸症候群(10.2%)、レム睡眠行動障害の疑い(21.4%)であった。
・1つ以上の睡眠障害が認められた片頭痛患者は、87.0%であった。
・睡眠障害のない状態を基準とした多項ロジスティック回帰分析では、調整係数を補正したのち、3つ以上の睡眠障害が併発すると、片頭痛評価尺度(MIDAS)スコアの有意な上昇が認められた。
・媒介分析では、他の変数を調整した後、睡眠障害の数の増加は、MIDASスコアに直接的な影響を及ぼし、CSIスコアとの間接的な関連が示唆された。

 著者らは、「片頭痛関連障害と複数の睡眠障害との関連性が認められており、これは部分的に中枢感作により媒介されている可能性が示唆された」としている。

(鷹野 敦夫)